4-10.リンカーン・フォーラム事務局への届け出
1.マニフェスト型公開討論会の定義
5.当日の運営
6.公開討論会が終了したら(マニフェスト・サイクルへの関与)
4.開催の準備

 

 

  1.マニフェスト型公開討論会の定義

 

■マニフェストとは?

 従来の選挙における「公約」のように、口約束だけで事後検証が出来ないものと異なり、事後検証が可能な選挙公約をマニフェストと呼びます。マニフェストは国政選挙向けか、地方自治体選挙向けかによって大きく2分されます。国政選挙の際に、政党が政権をとったときに実行を公約するものとして出すのが「パーティー・マニフェスト」です。
 公職選挙法(142条の2)で「国政に関する重要政策及びこれを実現するための基本的な方策等を記載したもの」とされている「パンフレット又は書籍」がこれに相当します。
 一方、地方首長選挙で、候補者自身が当選後の実行を事後検証が可能な形で公約したものは「ローカル・マニフェスト」です。


 マニフェストには様々な解釈があり(後述のコラム参照)、特に「ローカル・マニフェスト」については公職選挙法(2005年5月現在)でも、その存在が想定されていません。そこで、リンカーン・フォーラムでは「マニフェスト型公開討論会を推進する会」が提唱する以下の定義を採用します。

 

 <マニフェスト型公開討論会におけるローカル・マニフェストの定義>

 地方首長選挙で当選して首長となったときに、実際にどのような政策や職務執行を地域で行うのかについて、あらかじめその具体的項目や手法等を提示したもの。個々の施策について財源や実施期限が明示され、事後的な検証が可能であることが望ましい。

 

参考:新聞などで解説されているマニフェスト

 新聞などでは一般的に「マニフェスト(manifesto)」のことを、「政策の
@数値目標、A達成期限、B財源、C実行の手順 を明記した公約」 と解説しており、「政策綱領」「政権公約」などと訳されます。
 ただし、これは政党による選挙が主流であり、個人で立候補するという風土がない英国で使われているマニフェストの定義を直輸入した解釈です。
 英国では地方選でも政党がマニフェストを作成しますが、日本の地方自治体の選挙では政党の公認を受けない個人・無所属の立候補が多く、政党や政策シンクタンクのような政策立案専門組織を持っていないことが普通であるため、上記4つの項目を全て網羅して提示するのは難しいのが現状です。
 そのため、日本の地方選挙でマニフェストを提示する場合、「事後検証可能なもの」であれば、上記4つの基準を必ずしも厳格に適用するのではなく、徐々に適用していくのが望ましいとされています。

 

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 ■マニフェスト型公開討論会の定義

 マニフェストを中心的な題材として行う公開討論会をマニフェスト型公開討論会と呼び、次のとおり定義します。

 全国の自治体首長選挙、国政選挙に際し、政治的に中立な組織による運営の下で行われる「公開討論会」※1のうち、立候補予定者(もしくは候補者)がそれぞれ有権者に向けて提示する「マニフェスト」に着目し、これを題材として具体的な政策論議に重点を置いて実施されるもの。実施にあたっては、すべての参加者に対して、マニフェスト自体の定義や役割などについて、誰にでも分かりやすい説明が行われたうえで、討論に入ることが望ましい。
※1選挙期間前における候補予定者による討論会、もしくは選挙期間中における合同演説会

 

 

 ■本マニュアル上の「マニフェスト」と、「マニフェスト型公開討論会」の位置づけ

 マニフェストには、国政選挙向けのパーティ・マニフェストと、自治体首長選挙向けのローカル・マニフェストとがありますが、ローカル・マニフェストについては、その存在が公職選挙法(2005年5月現在)で想定されておらず、多くの専門家もローカル・マニフェストは配布できないものと解釈しています。実際は、この解釈は正確ではなく、著しい制限はあるものの配布可能なのですが、マニフェストの配布ひとつ取り上げても、ローカル・マニフェストの場合は事情が複雑かつ、高度に専門的です。
そこで、本マニュアルでは原則として

 ・マニフェスト          → ローカル・マニフェスト
 ・マニフェスト型公開討論会 → 自治体首長選向け

 パーティ・マニフェストを対象とした公開討論会を開催する場合は、公開討論会(告示前)については本マニュアルに準じ、合同・個人演説会(選挙期間中)で行う場合は、『合同・個人演説会の開き方ポイント集』を参照してください。

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