合同・個人演説会の開き方 ポイント集

 

選挙期間中は、公開討論会は開催できませんが、合同・個人演説会を開催できます。
ここでは、合同・個人演説会の開催方法のポイントをご紹介します。

 

1.合同・個人演説会の魅力
最初に、合同・個人演説会は公開討論会と比較して、たくさんの魅力があることを紹介しておきましょう。

有権者の関心が高いし、高まる
  #選挙期間中のため

●主催者の費用負担なし
  #全ての費用が立候補者の均等負担になる
   また、会場費は立候補者に無料で割り当てられる公営施設を利用できる

踏み込んだ討論が可能
  #選挙公約OK、投票依頼OK、マニフェスト配布(制限付)OK

●選管、警察が協力的
  #選挙運動期間中なので問題が起こらないように親切に相談に乗ってくれる

●マスコミが積極的
  #選挙期間中のハイライトなので

短期間で実現できる
  #最短で1週間でも可能、
   また、一般の運営スタッフにとっては、短期、または当日のみのお手伝いなので、
   精神的負担が軽く、選挙のたびに協力を得やすい

少人数で実現できる
  #当日まではたった一人でも出来る
   当日は各陣営から数名ずつのボランティア協力を得られる

 

2.開き方の基本(合同・個人演説会特有の開き方)


合同・個人演説会といっても90%は公開討論会の運営と同じです。
合同・個人演説会特有の開き方の基本は、以下マニュアルを参照してください。

(1)公開討論会完全マニュアル

(2)資料編の、21〜24

(3)Q&A
   

 

3.開き方の極意

(1)企画 (Q&Aから要点を抜粋)

 1.候補者に閣僚クラスがいる場合の注意

 2.閣僚を招く場合の警備体制

 3.質問を作る時のコツ

 4.合同個人演説会は、テレビで放映できます

(2)出演交渉

 1.選挙期間の折り返し点の平日に
     経験上、選挙期間中に各陣営が出席しやすい日程は、選挙期間の折り返
   し点、すなわち、告示日から投票日までの真ん中あたりです。また、土日はラス
   トサンデーなどと言われ、各陣営は街頭演説のピークですので合同演説会には
   出席困難ですから、できるだけ避けたほうがよいです。
   以上の点から、選挙期間の折り返し点の平日を候補日として提示しましょう。

 2.スケジュール調整のキーマンと交渉する
    選対本部には、選挙運動中のスケジュールを取り仕切るキーマンがおり、
   その肩書きは選対本部長、事務長、後援会長など様々です。
   このキーマンを見極め、その方と交渉することがポイントです。

 3.現職のスケジュールを最優先に
    ファーストアプローチは全候補一斉ですが、実際の出演交渉にあたっては、
   現職が出席できる日程、時間、場所を最優先で調整します。
   新人陣営には「現職がこの日なら出席できると言っています」と説明して、その
   日にあわせてもらうのがコツです。
   
    現職がなかなか調整に応じてくれない場合は、
     「では、いつなら出席できますか?新人はどこでも合わせると言っています」
    と相手に球を投げるとうまくいくことが多いです。


(3)選管との協調
   選管には、「いつもご苦労様です」と言われるくらい、活動状況をマメに報告
   しましょう。これが、私たちの信頼を向上させることになります。
   
   記者会見の前には、活動内容と会見内容を必ず選管に報告しましょう。そして
   会見では、
 「ただいま、選管にも報告してまいりました」という切り出しで臨む
   のです。
   そうすることにより、実質的に選管のお墨付きを得たという印象が生まれ、新
   聞の活字も大きくなります。
    (実際は選管には許認可権限はありませんが、選管に話を通してあることが
     生む安心感が大切なのです。)

(4)マスコミとの協働
   公選法上、合同・個人演説会を私たち企画運営団体がチラシやポスター、ホー
   ムページなどで告知することはできません。
   (これら媒体を使わない、私信の範囲でのクチコミは可能です)
   そこで、記者会見を行い、新聞、テレビ各社に十分な報道をしていただく事が
   重要です。

   記者会見は1回だけでなく、準備期間中の節目節目で3〜4回開催し、小出しに
   報告していくことにより、記事の扱いも増え、出演交渉にもいい影響を与え、
   有権者の関心を高めることになります。

   <記者会見を開く節目>
    @候補者へのファーストアプローチの直後
      目的:開催の意思表示を行うとともにマスコミへの協力依
         頼を行う。有権者から質問を募集する場合もここで

    A代表者陣営会議の前
      目的:出演交渉経過を発表するとともに、代表者陣営
         会議を取材してもらう

    B代表者陣営会議の前
      目的:代表者陣営会議の結果や、当日の質問テーマを
         発表する

    C告示・公示日
      目的:記者の関心が高い公示日に、日時、会場、出演者、
         テーマなどを再確認する。


(5)中身が濃く、盛り上がる討論にするコツ

   必ずしも必須ではありませんが、取り入れると討論の中身が濃くなり、会場も
   盛り上がるコツを伝授します。
    ※「合同のみ」と注記した方法は合同・個人演説会でだけ有効です  

   @タスキ着用を認める (注:合同のみ) 
     候補者の氏名は、机の前に張り出したふんどしでわかるので、タスキは必
    ずしも必要ないですが、選挙期間中だけに認められるタスキを着用していた
    だくことにより、いかにも戦闘態勢という雰囲気が醸し出されて、写真写りも
    よくなります。

    少なくとも入場時にはタスキを着用をお薦めします。
    ただし、演説が進行してくるとライトの熱などで熱くなるので、コーディネータ
    ーから「熱いので上着やタスキは自由にはずして楽にしてください」と
    促しましょう。

   Aディベートを取り入れる
     候補者自身に、ディベートの相手を指名させ、4〜5回の反駁を繰り返すディ
     ベートは、最近では敬遠する候補も少なくなり、盛んに取り入れられるように
     なってきました。
     また、日本人は和の精神があるので、選挙前だとせっかく政策批判の時間を
     設けても単なる質問に終始して、突っ込まないことが多いのですが、選挙期
     間中は各候補とも命がけですから、突っ込んだ議論が期待できます
 
     リンカーン・フォーラムではディベートを取り入れた公開討論会のビデオを
       『公開討論会 これで完全ビデオ入りCD-ROM 』
     で用意してありますので、ぜひ参考にしてください。

   B最終演説は、舞台中央に立って行う
     通常の討論は着席したまま行いますが、プログラムの最後は、舞台前方
     中央にスタンドマイクを用意し、ひとりづつ舞台中央に歩み出て、3分〜
     5分程度の最終演説をしていただきましょう
     候補者の身振り手振りを交えた最終演説は実に見ごたえがあるものです。

   Cマニフェストを配布する
     2003年秋の公選法改正で、個人演説会会場でマニフェストの配布が解禁
     (制限付き)されました。
     各実行委員会で知恵をしぼり、効果的に用いましょう

 

 

4.『公開討論会完全マニュアル』(第4.00版)の改訂箇所

 『公開討論会完全マニュアル』(第4.00版)発行後に発見された、合同個人演説会
に関する誤植を訂正するとともに、公選法改正や社会の理解の浸透に伴い、運営
ノウハウが進歩しましたので、ここに追記します。


(1)演説会告知のマスコミ報道
    従来:テレビによる報道はダメ
    改訂:テレビによる報道はOKです。
         2000年総選挙ではNHKですら開催一覧を報道してくれました。
         演説会をコマーシャルとして流すのがダメです。


(2)会場の外の立て看板
    従来:国政選挙と知事選では、「○○選合同個人演説会」という
        立て看板を会場の入口に立てかけることはできない
    改訂:2003年夏までの選管の公選法解釈は上記のとおりでしたが、
        政府の答弁書により、立てかけて良いことになりました。
 

(3)会場内で配布できる資料
    従来:選挙運動用ハガキのみ
    改訂:以下の条件のもとで、マニフェストを合同・個人演説会会場内で配布できる
        ことになりました。

       @国政選挙の場合
        <条件>
         ・配布できるものは、国政に関する重要政策等を記したパンフレット等
         ・衆院/参院の通常選挙のみ(衆参補選)
         ・配布できる期間は選挙運動期間中のみ
         ・配布できる主体は、届出政党のみ

        A地方首長選挙の場合
        <条件>
         ・複数の候補者のマニフェストを一緒に配布する
         ・書式は、候補者の確認団体が
          「政治活動のために使用する政策パンフレット」
          として作成したもの
         ・選挙名の掲載は不可能だが、自治体名の掲載は可能
         ・マニフェストに候補者の氏名、および氏名を類推できるものを掲載
          してはいけない。
          ただし、候補者の確認団体の名称は掲載してよい
         ・マニフェストに候補者への投票依頼を掲載してはいけない
         ・候補者の確認団体が
          「政治活動のために使用する政策パンフレット」
          として作成したマニフェストを、公営施設で配布する場合、
          必ず合同個人演説会の企画・運営団体が配布する。


(4)投票依頼、連呼
    従来:投票依頼や連呼は法的にはOKだが、合同演説会の
       場合は(節度を保つため)ルールで禁止したほうが良い
    改訂:プログラム上、最後の演説であれば、コーディネーター
       が促して投票依頼や連呼を認めたほうが良い。
       そのほうが会場が盛り上がる。

 

以上

 

 

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更新日 2005年5月21日