4-10.リンカーン・フォーラム事務局への届け出
5.当日の運営
6.公開討論会が終了したら(マニフェスト・サイクルへの関与)
4.開催の準備

 

 

  6.公開討論会が終了したら(マニフェスト・サイクルへの関与)

 

 マニフェスト型公開討論会を終了しましたら、従来の公開討論会の終了時と同様に
  ・ 関係者へのお礼
  ・ 決算書の作成、発表
  ・ アンケートの分析、発表
  ・ 反省会の実施
  ・ リンカーン・フォーラム事務局への結果報告
を必ず行ってください。

 ところで、英国にはマニフェストの効果を実行ならしめるために、マニフェストの提示から、(次の選挙に向けた)達成度の検証までの一連のサイクル(=マニフェスト・サイクル、下図参照)があります。日本には2005年春の段階ではマニフェスト・サイクルは根付いていませんが、2003年春の統一地方選以降にマニフェストを掲げて当選した首長の自治体や、民間のローカル・マニフェスト推進ネットワーク(代表・北川正恭早大大学院教授)などが、徐々にマニフェスト・サイクルを整備しつつあります。

【マニフェスト・サイクル】

1.選挙でマニフェストを発表
  ↓                                        ↑
◆マニフェスト型公開討論会、 または通常の公開討論会
  ↓                                        ↑
当選
  ↓                                        ↑
2.マニフェストを実現させる体制・計画を作成
  ↓                                        ↑
3.マニフェスト実現計画に基づく、具体的な事業の実行
  ↓                                        ↑
4.マニフェストの達成度の検証
@自治体による検証 A首長自身による検証 B議会による検証 Cマスコミによる検証D民間団体による検証

 

 このサイクルの終盤にある「マニフェストの達成度の検証」は非常に重要なプロセスですが、「マニフェスト型公開討論会の基本方針」に示したとおり、主催者自身が、マニフェストの達成度の検証を主な目的として継続的に活動すると、候補者の立場から見た政治的中立性を失い、次回の公開討論会開催に大きな支障をきたします。

 公開討論会を経験したことのない方は、「第三者的に客観的にマニフェストを評価することは政治的中立から逸脱するはずがない」とお考えになるでしょうし、それは正論です。しかし、公開討論会における政治的中立性とは、客観的に見て中立公平なだけでなく、これに出演する候補者陣営や、宣伝に協力いただくマスコミなどの立場(=彼らの主観的立場)から見ても中立性が求められるのです。

 具体例を挙げましょう。
 仮に、ある選挙でマニフェスト型公開討論会を実施した主催者が、その選挙で当選した首長のマニフェスト達成度を評価したとします。その評価手法は科学的かつ客観的で、その道の専門家にも高く評価され、結果として達成度は50%であると導き出されたとしましょう。
 しかし、マニフェストの達成度評価はその自治体の専門組織や首長自身も行います。彼らの評価基準での算出は達成度70%だったとすると、この公開討論会主催者は首長に対して20ポイントも厳しく、敵対的なグループとみなされてしまいます。この首長に次の公開討論会に出演していただける可能性は大きくダウンすることは間違いありません。

 一方、次の選挙に出馬しようとしている対立候補や、首長と対立している議会(仮に対立していたとする)から見れば、公開討論会主催者の評価基準は甘いものであり、彼らの基準で評価すれば達成度は20%になるかもしれません。この時点で対立陣営からみれば、この公開討論会主催者は現職寄りと映ってしまい、次の公開討論会に出演してもらえる可能性がダウンします。場合によっては「公開討論会の主旨には賛同するが、あの主催者の中立性には疑義があるので参加しない。」などの声明を発表されることもあります。こうなると、いくら主催者の皆さんが反論しても、もはや泥仕合となってしまいます。

 公開討論会主催者がマニフェストの評価や作成に深く関与していくと、常にこのようなリスクが付きまといます。したがって主催者自らマニフェストの評価は行わず、それを本業とする組織(自治体、首長、議会、マスコミ、民間団体など)に任せるべきです。

 ただし、公開討論会主催者にも、マニフェスト評価の支援は可能です。以下のようなマニフェスト評価支援を公開討論会終了後に実施することを、マニフェスト型公開討論会のオプションとして検討してみましょう。

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◆オプション@ マニフェスト型公開討論会での発言記録を残す

 マニフェスト冊子がいかに立派に作成されたとしても、各々の政策の優先順位や具体的な実現方法、行間に隠れた真意、達成にかける熱意などは、候補者自身の言葉による発表に勝るものはありません。そして公開討論会は、そのための最適の場です。
この公開討論会で発言された内容は、後にマニフェストが評価されるときの非常に良い材料となるでしょう。
 そこで、公開討論会での発言記録を残すことをお薦めします。

 発言された音声を文書化(テープ起し)し、Webサイトに掲示しておく方法が一番望ましいですが、2時間前後の音声ですので、専門業者に頼むと2〜3万円かかり、個人で実施すると1週間程度かかるようです。
 資金や時間に余裕がある場合はこれらの方法も良いですが、もっと手軽な方法として、音声をWebサイトに登録し、パソコンから音声を聞けるというサービスがあります。
リンカーン・フォーラムの提携サイト「選挙情報専門サイトElection.」が「公開討論会インターネット音声配信サービス」を格安料金(2,000円〜)で提供しており、選挙期間中も放送、半永久保存という高い価値もあるため、ぜひ利用してみてはいかがでしょうか。

◇ Election.の 公開討論会インターネット音声配信サービス

◇ 配信事例:千葉県知事選 マニフェスト型合同個人演説会(2005年) 


  

◆オプションA マニフェスト検証組織を一堂に会した公開討論会を行う

 前述の通り、マニフェストの検証は様々な組織が実施します。各組織がそれぞれの立場からマニフェストの検証結果を発表しますが、すべての検証結果を中立な立場で比較するとなると、「検証作業には関与しない」主催者の運営による公開討論会がベストです。
 リンカーン・フォーラム方式の公開討論会マニュアルは公職選挙用に作られていますが、これをベースに選挙以外の各局面や、あるいは選挙とは関係なく特定の政治課題を論じる公開討論会などへも流用可能です。
 例えば、メインゲストとして首長をお迎えし、その他のパネリストとして、自治体のマニフェスト評価専門組織、議員、マスコミ、民間のマニフェスト評価機関などの担当者を一堂に会した公開討論会であれば、誰の目からも中立であり、首長も安心して出席できるでしょう。
こ の、マニフェスト検証組織を一堂に会した公開討論会については、リンカーン・フォーラムも未経験の分野(2005年5月現在)であり、今後、関係組織と連携を図りながら内容を固めていきたいと思います

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