| A.1.迅速に行動すること
   当初出席予定だった方が突然欠席回答になったということは、後援会、選対、支持者その他各方面から何らかの入れ知恵が入ったと推定されます。このような場合、先方の出方を待っていては必ず「安全策をとって公開討論会には出ないでおこう」ということになってしまいます。
 翻意させるための行動を迅速に行うことが重要です。選挙直前から選挙当日までは非日常ですので、夜中も早朝も活動可能です。時間最優先で行動してください。
 2.欠席理由を明確に把握する
   欠席の理由を明確に把握しましょう。当初は出席内諾で、場合によってはそのことが新聞報道されているものを撤回するわけですから、それなりの理由があるはずです。このとき注意することは、欠席理由にはタテマエとホンネがあり、両者を正確に区別し、それぞれに対策を打つことです。
 3.タテマエ上の欠席理由への対応
    タテマエ上の理由は、理詰めで冷静に対処し、ある程度の妥協も交渉カードとしてちらつかせれば、ほとんどの理由がクリアできます。また、誤解があれば誤解を解くことも大切です。なかには「公開討論会は公職選挙法の趣旨に反する」などというまったく理不尽な理由もありますが、リンカーン・フォーラムの実績、自治省や各地選管の公式回答、主要候補者のコメントなどを上手に組み合わせれば必ず解決できます。
    ただし、大切なのはタテマエ上の欠席理由というのはあくまでも支持者やマスコミ向けのタテマエですので、この理由への対策を練っても効果は薄いということを忘れず、力をかけすぎないことです。 4.ホンネの欠席理由への対応
 
 ホンネの欠席理由は、表に出せない感情的なものが多いため理詰めの対策はあまり効果がありません。いちいち、反論せず、「なるほどごもっともです。あなたのお気持ちは良く分かります」と理解を示すことが大切です。その上で、出席することはあなたにとって得、欠席すると損、という損得勘定で判断出来るような状況に持っていけるとうまくいきます。
 5.出演交渉の心構え
   候補者への出演交渉は、営業活動と同じで、駆引きです。主催グループが市民オンブズマンの場合に陥りがちな失敗例として、正論で「候補者たるもの有権者への説明責任があると思いませんか!」などと一方的に攻め立てても、うまくいくものではありません。押すべきところは押し、引くべきところは引く、そして両者の共通の合意点を「出演」に持っていくところが肝要なのです。
 6.マスコミを上手に活用する
   マスコミはリンカーン・フォーラムの公開討論会には大変好意的です。彼らをいい意味で上手く活用しましょう。たとえば、主催者自身が候補者に言いにくいようなことでも、マスコミに情報を公開することによって、第三者の立場から「出演した方が得ですよ」といってもらえるという効果もあります。   また、仮にどんなに交渉しても出演回答をいただけない場合は、私達は公平性を維持する観点から有権者への説明責任があるので、全ての交渉過程と欠席理由を記者会見で公表する、というカードを切り札として用意しておきましょう。 7.コネも使いよう
   何らかの誤解で主催者グループが信頼されていないケースはよくあることです。もし貴方の知り合いに候補者に影響力がある方がいるならば「あのグループの運営ならば心配ないよ」と 助言してもらえるようにしましょう。このように、信頼性向上のためのコネはフル活用すべきです。   8.損得を判断させるための客観的情報
   出演を固辞している候補者や後援会を翻意させる最後の切り札はこれまで述べてきたように、「公開討論会に出た方が選挙に有利、欠席すると不利」と思わせる客観的データを提示することです。   リンカーン・フォーラムにはこのようなことを裏付ける数多くの客観的数値データがあり、新聞記事などでも報道されているので、戦略的に活用してください。   (1)1998年参議院選での、自民党候補の出欠と当選率の関係
 自民党全体の平均当選率           53%
 自民党候補で公開討論会出席者の当選率 83%
 自民党候補で公開討論会欠席者の当選率 44%
      日本海新聞「公開討論会と参院選(上)」(1998.5.12)     http://www.nnn.co.jp/tokuhou/9808toku.html#980805
  (2)2000年総選挙での、公開討論会出席者と当選率の関係
 リンカーン・フォーラムML参加者のみ、以下URLから全データを
 入手できます。
 
 http://www.egroups.co.jp/files/lincolnforum/%80%A0%A3%BD%B0%B5%C4%B1%A1%C1%A
 A2000%80%A0%A3%C1%ED%B3%E7/All.pdf
 
 公開討論会への出欠と当選結果との関係
      ●公開討論会への出欠       
                   
                    | 結果 | 選挙区 | % |   
                    | 全員出席 | 108 | 75% |   
                    | 一部欠席 | 27 | 19% |   
                    | 不明 | 9 | 6% |   
                    | 合計 | 144 | 100% |          ※ 開催選挙区のうち、3/4以上が全員出席→ 現職候補や自民党候補にも十分受け入れられるようになった
      ●公開討論会出席者の当選率             
                   ※出席した候補の中から当選が出た確率は8割以上 ●公開討論会欠席者の当選率と内訳
         ※欠席した候補が当選した確率は2/3(1/3は落選)ただし、公開討論会欠席でも当選した候補は閣僚経験者などの
 大物だけ
    (3)自民党本部がリンカーン・フォーラム方式を事実上公認した2000.5.31の読売新聞記事
 
                   
                    | 引用文-読売新聞(2000.5.31)- |  
                    | 今回、同党本部は「出欠は個人の判断だが、地球市民会議がサポートしている討論会なら大丈夫だと答えている」(選対本部)と協力的な姿勢に転じた。 ※「地球市民会議」とは、リンカーン・フォーラムの前身の組織のことです。 |     |