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クチコミは最も効果的な集客方法であり、クチコミ作戦はリンカーン・フォーラム方式の最高のノウハウのひとつです。私(内田豊:事務局長)自身も、自ら代表を務めた市長選公開討論会(350人)、公開討論会普及シンポジウム(600人)、そして主要スタッフとして参画した自主映画上映会(2,000人)の全イベントを、このクチコミ作戦の活用で会場をあふれ返させることができました。ここではその秘訣をたっぷり解説します。
<ステップ1 心構え>
1.クチコミによる集客目標を立てる
第一に、クチコミによる集客目標を立てることが大切です。【Q&A】の「来場者数の正しい見積もり方」を参考にしてください。
2.目標達成をコミットメント(約束)し、代表が率先垂範する
上記の集客目標を努力目標(=ターゲット)と考えてはいけません。必ず達成すべき目標(=コミット)と考えてください。そして、代表は必ず集客目標を達成すると約束しましょう。メンバーとも誓い合いましょう。「各自が20人ずつ連れてこよう」というように約束します。このことを「コミットメント」といいます。
あの日産はゴーン社長の登場で、わずか1年で黒字化転換し、復活の兆しを見せています。ここまで日産の息を吹き返させたキーワードが、ゴーン社長が持ち込んだ「コミットメント」です。かつての日産社員は目標を「努力目標」としか捉えていませんでした。これをゴーン社長が自ら1年での黒字回復をコミットメントし、社員にもコミットメントさせたことが復活の秘訣でした。
もともと日産には復活するだけの能力も人材もあったのですが、日産には「やる気」と「牽引力」が欠けていました。ゴーン社長はコミットメントによってこれらを上手に引き出したのです。
公開討論会のクチコミによる集客方法は、以下に紹介するノウハウが確立されており、決して難しいものではありません。大切なのは、いかにメンバーに「やる気」を起させるかなのです。
もちろん私たちの活動は非営利活動であり、企業活動ではありませんから、目標が達成できなくても何のペナルティもありません。(ただし、あまりにも集客が少ないと社会問題になりますので気をつけてください。この問題は別掲します)しかし、ここで大事なのは、集客目標達成をコミットメントするくらいの意気込みを持つということです。
代表自ら率先垂範してクチコミ集客をし、メンバーに模範を示しましょう。そうすれば必ずメンバーもついてきます。私の場合、主催した公開討論会普及シンポジウム(満席)で、600人の来場者のうち80人を連れてきました。
コミットメントした代表は発言や行動に信頼感が増しますので、メンバー信頼されるだけでなく、候補者への出演交渉やマスコミ対応もスムーズに進みます。
<ステップ2 クチコミのノウハウ>
3.チラシをつくる、送る
クチコミといっても、何の前触れも無くいきなり電話をしても効果は薄いです。公開討論会の日程や会場、出演者などの情報をきちんと掲載したチラシを作成(手作りでも良い)し、声をかける相手に事前に送っておくことが肝要です。何十人にも郵送すると切手代がかなりかかりますが、新聞の折込に比べればはるかに効果的で安いものです。また、eメールにチラシを添付してもいいでしょう。
このチラシがあなたの説明の大きな武器となり、さらに郵送であれば「このIT時代にわざわざ郵便でチラシを送った」というあなたの行為が好感度を増します。
4.まずは親兄弟親戚に声をかける
一番最初に声をかけるべき相手は、親兄弟、そして親戚です。親兄弟は自分の選挙区に住んでいる可能性が高く、また確実に来てくれるからです。
ところが、普通の人間の心理には
「親に声をかけるなんて恥ずかしい」
「ウチの親は古いから『政治なんかに関わるのはやめなさい』と、とがめられるに違いない」
「親戚なんて10年以上会ってないから声をかけにくい」
「親戚に声をかけるなんて、新興宗教やマルチ商法の勧誘の常套手段みたいで嫌だ」
などという、なんとも言い難い”心の壁”が存在します。
”心の壁”は精神的なものですから、理性ではなかなか押さえられません。失恋したくないから恋の告白ができない、みたいなものです。でも、ここはぜひとも勇気を振り絞って下さい。
あなたが勧誘しようとしている公開討論会は、決して後ろめたいものではありません。そして、勇気を振り絞って声をかければ、来場してくれた親兄弟親戚は必ず喜んでくれるでしょうし、不満を言われることはまずありません。
特に親や祖父母などは人脈が広いですから、一度公開討論会に参加すれば、次回の公開討論会の時からは近所中に「ウチの息子(孫)が今度こういうのをやるんで見に行きましょ。ほら、○○新聞にも載ってるのよ。」と、頼まなくても営業マンに転じてくれるでしょう。
あなたが親兄弟親戚に声をかける”心の壁”をクリアできれば、友人や同僚へも簡単に勧誘できるようになれます。
5.身近な人なら気軽に誘え
それでは、具体的にどのように声をかければいいのでしょうか?公開討論会の意義を熱く語ったりするのがいいように思えますが、意外にも勧誘上手な人たちは、気軽に誘っています。
「とにかく楽しいから来て!」
「お願い。あたしの顔を立てて来て!」
「だまされたと思って来て。ビール奢るから!」
勧誘相手が身近な人であり、あなたが相手からも信頼されているのであれば、あまり込み入った説明は必要なく、単純明快に自分の信用力(顔)だけで誘えるということです。
ただ、これも相手によりケースバイケースです。声をかければかけるほど、「こういうタイプにはこのパターン」というコツが分かってきます。
6.各種団体、NPOなどに声をかける
親兄弟親戚、友人知人、恋人、会社の同僚など、身近な人だけではどうしても声をかけられる範囲に限界があります。そこで、次の段階では自分の知り合い以外、特に各種団体やNPOなどに声をかけていきます。ボランティアの市民団体などは広範なネットワークを持っており、一つに声をかければ全部に行き渡ることもあるので、ここに積極的に声をかければ、クチコミは大きな広がりを見せることになります。
自治体が発行する広報誌やタウン誌などには福祉団体、教育団体、環境団体、市民オンブズマン、趣味のサークルなど、たくさんの団体の案内と連絡先が載っています。これらの連絡先(代表)に電話し、アポイントをとります。あるいは、アポなしの飛び込み訪問も結構成功するものです。市民会館などに行けば彼らの代表クラスは会議室予約時刻の30分位前にはやってきて会場準備をしていることが多いので、この時間を利用して、公開討論会の紹介をさせてもらうのです。
先方の代表が趣旨に賛同してくれたら、団体のメンバーにチラシを配ってもらえるでしょう。さらに上手くいけば、彼らの集会で15分くらいスピーチの機会をもらえることもあり、こうなれば効果は絶大です。ここではぜひ、公開討論会の魅力とあなたの思いを熱く語りましょう。
なかには「ウチは政治には一切タッチしない」という頑なな団体もいますが、気にしないことです。公開討論会のことが大きく新聞に載れば、次回はその団体も態度が変わるでしょうから。そして、各種団体への呼びかけは、軌道に乗ると次々とスムーズに行くもので、声をかけるのがきっと楽しくなってくるでしょう。
<ステップ3 メンバーの士気を維持するノウハウ>
7.集客状況を逐一、情報公開する
メンバー全員で集客目標をコミットメントしても、なかなか最初の士気を維持するのは難しいものです。「自分一人くらい、いいだろう」と思う人も出てきますし、全員がそのように思ってしまったら悲惨な状態になります。
そこで代表はメンバーの士気を維持するために、集客状況を逐一集計し、公開していくことが大切です。
たとえばメンバーの集客状況を、毎週末に代表に報告させます。代表はそれを一覧表にして、翌週初にメンバー全員にフィードバックします。メンバー全員がeメールを持っていれば、この公開討論会専用のメーリングリストを作ればスムーズな情報交換ができます。
ちょっと営業部のノルマ達成表みたいで厳しい感じがしますが、ここでの目的は成績の悪いメンバーを叱咤激励することではありません。一覧表は、集客状況が悪い場合には全員が危機感を共有するために、そして集客状況が順調な場合には、全員が充実感を味わうために発行するのです。
そして、このフィードバックの時に、最も集客が成功しているメンバーの成功事例を具体的に紹介し、他のメンバーがその成功法則を真似できるようにするのがポイントです。
さあ、クチコミ集客は決して難しくありません。目標をしっかり定め、自分の”心の壁”さえ取り払えば、どんどんうまくいくものです。リンカーン・フォーラム方式では数多くの実行委員会がこのことを実証しています。あなたの実行委員会もがんばりましょう。
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