質問の取り扱い、コーディネーター
更新日 2010年05月02日






質問の取り扱い

国政選挙での質問を作るときに気をつけることはなんですか?
質問は候補者に、事前に開示すべきでしょうか
来場者から質問を受け付ける時にはどのようにすれば良いですか
会場からの挙手の質問を受け付けないのはなぜですか
質問を市民から公募することに問題はありますか
プログラム

時間配分のお手本を教えてください
休憩時間は入れたほうがいいですか
コーディネーター
コーディネーターの役割と選び方について教えてください
フリーディスカッション形式の進め方を教えてください
テーマを決めないフリーディスカッションは可能でしょうか
マニフェスト型公開討論会でコーディネーターが注意すべき点を教えてください
マニフェストが無くてもマニフェストを問う公開討論会にできますか
コーディネーターにアシスタントをつけたほうがいいですか
 




Q.
 
国政選挙での質問を作るときに気をつけることはなんですか?
 

A.
(1)地域や選挙区特有の質問を入れない

 2000年の総選挙を前にした多くの公開討論会で、地域や選挙区特有の問題がテーマに挙がっていました。確かにこれらの問題は地元有権者にとって大変な関心事なので、テーマに入れたくなる気持ちは わかります。 また、小選挙区というのは市区村長選レベルの面積が多いので、どうしても”地元代表の先生”という感覚を抱きがちです。

 しかし、地域や選挙区特有の質問を国会議員の候補者に問うことは、有権者が国会議員に対し、地域への利益誘導を促していることに近いものがあります。

 また、国会議員とは憲法にも明記されているとおり”全国民”の代表であって、地域代表の集合ではありません。 選挙区というのは国民が投票しやすいように便宜的に設けられているに過ぎません。
 実際、地域特有の質問に対し、「これ以上の詳細な回答はむしろ市長にお任せすべきでしょう」と回答に窮していた候補 もいました。その候補は市議や県議の時代には当該問題の専門家でしたので、もちろん個人的にはいくらでも詳しく回答できるのです。しかし国会議員の回答すべき範疇ではないと いっているわけで、私は非常に良心的な候補と考えます。

 主催者側もこの点をわきまえ、国政選挙の公開討論会では地域や選挙区特有の質問は避けるようにすべきでしょう。

 (2)模範的なテーマ

 国政選挙に対するテーマや争点の代表例を挙げてみましょう。

 1.憲法問題を含めた防衛、危機管理に対する基本理念
 2.荒廃する教育に対して具体的に何を行うか
 3.日本の経済をいかにして立て直すか
 4.赤字が膨れ上がった財政をいかに再建するか
 5.税制をどのようにしていくか(所得税、消費税、法人税、相続税等)
 6.高齢化社会、(または少子化社会)に対する対応
 7.まったなしの環境問題をどのように解決するのか
 8.政権構想

 これらのテーマを「国家、国民、国益」の立場から、「具体的に」回答していただくことです。

 また、1.〜8.を旬の話題や法案と組み合わせて、一歩掘り下 げた質問を1,2問入れるのも効果的です。この場合、最初にその話題や法案にYES/NOで明確に回答させ、その後理由をお答えいただくと、考え方の違いがはっきり分かります。

 
  例1:ガイドライン関連法案が通過しました。日本の防衛という観点から憲法改正に賛成か反対か、理由を含め具体的 にお答えください。

 例2:京都会議で約束した日本のCO2削減目標は達成できると思いますか?目標達成の為に国家として具体的にどの ような手段をとる必要があると考えますか?

 例3:凶悪化する少年犯罪に対して、少年法の罰則適用年齢 引き下げが討議されていますが、あなたは賛成ですか反対ですか?その理由も含めてお答えください。

 


2006年11月18日




Q.
 
質問は立候補予定者に、事前に開示すべきでしょうか

私たちは、公開討論会での質問は立候補予定者に事前に開示すべきではないと思います。
立候補予定者が市政/県政に明確なビジョンがあれば、突然の質問に対しても、責任を持って誠意あるご答弁をいただけると信じているからです。
また、事前に質問を開示する方法は、スタッフが多い現職が有利になり、また公開討論会ではなく、「公開質問朗読会」(事前に用意された回答のメモをただ読むだけと言う意味です。)になってしまい、立候補予定者の真の姿や政策、能力が見えないと思います。
全国的に開催されている公開討論会では、「質問を事前開示」する方法が一般的なのでしょうか?

 

A.

1.質問は事前に、かつ、できるだけ詳細に開示するのが望ましいです

 質問は候補予定者に事前に、かつ、できるだけ詳細に開示してきましょう。可能な限り、当日にコーディネーターが質問する内容とそっくり同じ内容を提示しておくことが望ましいです。

 質問内容を詳細に提示してしまうと、用意してきた紙を読み上げるだけになってしまい、実力の違いが分からなくなってしまう、だから「財政再建について」「環境問題について」とか、大枠のテーマだけを事前提示しておいた方が良い、とお考えの方が多いと思います。

 ところが数多くの公開討論会を支援してきて、この考えは必ずしも正しくないことが分かってきました。

 事前提示内容を曖昧にしておくと、回答も曖昧になりがちで候補の違いが分かりにくいことが多いのです。 なぜなら、すべてのジャンルに精通している候補は稀であり、優秀な候補でも得意分野以外は相当な予習をしなければ明快に回答できないからです。

 むしろ、事前提示する質問を詳細にすればするほど、候補の違いが明確になります。 優秀な候補ほど、用意してきたメモをそのまま読み上げたりはしません。予習内容をベースにしながら、自分の体験談や知識、人生観などを交え、回答を膨らませていくものです。 これがライブの公開討論会の魅力であり、優秀な候補が光輝く場面でもあるのです。そして、優秀でない候補にしても必死で予習してくるわけですから、これは候補者を鍛えることにもなります。

 さらに候補者が予習してきた内容は、これまで有権者が知らなかった事実や数字が提示されることがあり、有権者も大きな学びを経験することにもつながります。

  

2.質問の事前開示する主催者は、候補者に安心して受け入れられます

質問を事前開示すべき理由として、上述のほかに、この公開討論会が候補者に安心して受け入れられるから、という理由があります。

まず、議論があまり得意でない候補者(一般的に多選を重ねた年配の現職や、落下傘候補の新人に多い)であれば、突然の質問しか出ない公開討論会は怖くて参加できないという心理が働くでしょう。
仮に本人は出席する気があっても、周囲の選対や後援会が「わざわざリスクをとる必要はない」と出席を取りやめさせることが大半です。

では、議論が得意な候補であれば、突然の質問を歓迎するかというと、必ずしもそうではありません。選挙ですから、当然「この討論会は自分のアピールに有利か、不利か?」という判断が働きます。特に候補者の選挙対策本部が気にするのは、「この主催者は、一見中立を装っているが、実際は敵陣営に肩入れしていないか」という点です。
質問を事前開示しない主催団体は、もしかしたら自陣営に不利な質問ばかりを集中的に投げかける偏向した団体かもしれないと疑ってかかるのは、選対や後援会の心理です。
実際に、リンカーン・フォーラム方式でない主催者が運営したものの中には、質問を事前開示せずに、特定の候補を集中的に糾弾するような偏向した討論会や、その主催者と利害関係にある特定の政治課題だけに質問が集中した討論会がありましたから、上記の選対の心理はリスク管理として当然のことです。

そして、この討論会への出席はリスクが高いと思われてしまっただけで、討論会へは出席いただけません。もし、候補者が2名だけの選挙であれば、もはやこの時点で公開討論会は成立しません。

したがって、質問を事前開示することは、候補者側に、この企画が安心できる公平・中立な内容であることを証明することでもあるのです。

 

3.工夫次第で、突発的な質問への対応力を見ることが出来ます

以上の通り、公開討論会のスタイルとして一番ポピュラーな、
 ・質問は主催者が用意する
 ・「1問1答+反論」形式で行う
あれば、質問は事前開示することがのぞましいです

しかし、公開討論会の主催者として、突発的な質問への対応力を判断できる機会を提供したい、という気持ちはよくわかります。実は運営方法の工夫次第では、それも可能となり、すでに数多くの討論会で実践されています。

それは、主催者が質問を用意する従来のスタイルに、
”主催者が用意しない”質問への回答時間を組み合わせる方法です。
以下、候補者に受け入れられる順に提示します。

(1)一般有権者からの質問を行う

  これには、
   ・事前に質問を新聞やホームページで一般公募する方法
   ・当日の来場者から書面で質問を受付け、代表的な質問を
    集約して、コーディネーターが代読する方法 (参照)
  があります。

  この方法は、有権者が行政全般のどこに強く関心を持ってい
  るのかよくわかるので、候補者にも大変喜ばれます。
 
  
(2)フリーディスカッションにする

  <参考>
   Q&A フリーディスカッション形式の進め方を教えてください

   フリーディスカッションであれば、主催者が用意する質問は
   「財政再建について」などの大きなテーマであり、各論につ
   いては、ディスカッションの流れの中で、候補者同士やコー
   ディネーターが突然質問することになります。
   特に、上記のQ&Aにあるように、コーディネーターが絶妙
   のタイミングで的を射た質問を出すことができれば、候補者
   の実力がはっきり分かります。


(3)ディベート(候補者同士の1対1の討論)にする

   候補者が別の候補者を1名指名し、自ら質問して、回答に対
   し反論を繰り返すスタイルです。
   質問する側は、相手にとって最も痛い質問を投げかけようと
   周到に用意してきますので、「突発的な質問への対応能力」
   を判断しやすい方法です。

   それだけに、このスタイルは敬遠されがちですので、候補者
   に受け入れていただくためには入念な準備が必要です。

   ◎         ◎          ◎
    

最後に追記します。
リンカーン・フォーラムのQ&Aは、公開討論会主催者が千回を超える成功と失敗から積み上げた経験則ですので、このとおり実行すればほぼ確実に成功します。
一方、このとおりに実施しないとほぼ確実に失敗することは、過去の失敗事例が雄弁に物語っています。

ではなぜ、この経験則が有効なのでしょうか?

それは、リンカーン・フォーラム方式の哲学に、候補者に対する「おもてなしの心」があるからだと私は思っています。

実際の選挙はひとつとして同じものはなく、選対の心理や、候補者間のパワーバランスも千差万別ですが、主催者が「おもてなしの心」を基本理念とすれば、必ず候補者に受け入れられる行動に結びつくからです。

私自身も、複雑な相談を持ちかけられて対応に悩むときは、常にこの候補者に対する「おもてなしの心」に立ち返るように心がけています。
そして、今でもQ&Aや『公開討論会完全マニュアル』を何度でも読み返し、気持ちを新たにします。

Q&Aや、『公開討論会完全マニュアル』には、単なるイベント運営ノウハウだけでなく、「なぜその行動が必要か?」というリンカーン・フォーラムの大切な哲学が一杯詰まっています。
初心者はもちろんのこと、ベテランもどうぞ何度でも読み返してください。


2006年11月18日

 

 



Q.
 
来場者から質問を受け付ける時にはどのようにすれば良いですか
 

A.
 来場者からの質問は書面で受け付け、それを主催者が吟味して代表的な質問に集約し、コーディネーターが代読します。要領は次の通りです。

(0)質問用紙を準備する
  様式は、用紙の上段に政治テーマを列挙、下段を自由記入欄としておき、上段の政治テーマを選択させたのちに、下段に具体的に記述してもらうとよい
質問は特定の候補だけに問うものではなく、全候補者に同じ質問をすることを前提とし、その旨を用紙に記載しておくとよい
質問用紙のサイズは、A5サイズ(A4サイズの半分)程度が取り扱いやすい
(1)入場時に質問用紙を配布する
筆記用具を貸し出すと回収率が上がる
クリップ付き鉛筆(ゴルフ場でよく使われるプラスチック製のもの)を配布すると、質問、アンケートともに回収率が上がる。ただし費用がかかるので必ずしも必須ではない。
(2)来場者に質問用紙を記入してもらう
場内アナウンスで、質問希望者は用紙に記入するよう、開会直前まで繰り返しアナウンスする
入り口付近のロビーに、質問用紙記入用の長机を設置しておくとよい
(3)質問用紙を回収する
@ 開会直前で回収
開会までに記入し終えた方の用紙は、開会直前に回収する。できるだけ多くのスタッフが会場内を歩き効率よく回収する。
まだ記入し終えていない方には、○時○分にもう一度回収するので、それまでに記入しておく旨、司会者からアナウンスする。あわせて、その回収時間は休憩時間ではないので、トイレは今のうちに済ませておくようにアナウンスする。
A プログラム中盤に設けた質問用紙回収時間で回収
プログラム中盤に短時間の質問用紙回収時間を設け、開会直前での質問用紙回収に間に合わなかった方の用紙を回収する。概ね、開会時刻から40分〜60分後がよい。
回収時間は2分を目処とする
この回収時間は休憩時間とはしない。したがって、来場者には席を立たせない。
候補者に対しては、この時簡に水分補給や上着を脱ぐことを薦めるとよい
(4)回収した質問用紙を吟味し、代表的な質問に集約する
集約作業には、実行委員会の中で最も国語力があり、頭の回転の速い方を選抜して担当とする。目安として3人〜4人が望ましい。

作業時間は10分以内を目標とする。時間との勝負である。

質問内容を同じカテゴリー毎にまとめていく。
最初に、あらかじめ設定しておいた「財政」「福祉」「教育」などの政策テーマで分類した後、それぞれの政策テーマをさらに質問内容に応じてカテゴライズしていくとよい。
その際、同じような内容の複数の質問の中で、最もよく言い表している質問を直感で選び出して先頭におき、それに近い質問をその周囲に固めていくとよい。
また、KJ法などのデータ集約方法を知っている方は活用するといいだろう。

質問でないもの(候補者への誹謗・中傷・スキャンダル暴露、来場者の意見や主張のみ等)や、全候補者への質問ではなく特定候補者だけに対する質問は、集約せずに選り分けておく。
最終的に、それぞれのカテゴリー毎に、そのカテゴリーを最もよく言い表しており、コーディネーターがそれを候補者に対して読み上るのにふさわしい質問用紙を選抜する。
仮に、質問数は多いものの文書として整った代表的な質問が1枚もない場合は、複数の質問から要素を抜き出して、質問の主旨を変えない範囲で文書を再構成してもよい。
それぞれの政策テーマ、カテゴリー毎の枚数を数える
集約した代表的な質問を、そのカテゴリーの枚数が多い順に並び替える
集約スタッフは、代表的な質問(多い順に並び替えたもの)を、コーディネーター(またはコーディネーターのアシスタント)に手渡す
(5)コーディネーターから候補者に質問する
コーディネーターは、集約された来場者からの質問を代読し、必要に応じてコメントをつけて候補者に質問する
候補者ならびに会場には、質問の多い順で質問していく旨を告げる
制限時間内でできるだけ多くの質問をできるように心がける。あらかじめ定めた制限時間が優先であり、質問数を決めてかかる必要はない。
来場者からの質問時間を利用して、集約スタッフは、(4)のカテゴリー別枚数一覧表を作成し、完成次第コーディネーター(またはコーディネーターのアシスタント)に手渡す
コーディネーターは、制限時間の中で最後となる来場者質問をし終えたら、まだまだ多数の質問が残っているが時間の制約上これで打ち止めさせていただくことを告げ、カテゴリー別一覧表を用いて、どのカテゴリーに何枚の質問がよさられたかを読み上げる。
また来場者に対して感謝を述べる。

 


2006年11月18日




Q.
 
会場からの挙手の質問を受け付けないのはなぜですか
 

A.
 リンカーン・フォーラム方式では、原則として会場からの挙手による質問を 認めていません。理由は、「質問」という名を借りて、待ってましたとばかり自分 の意見を延々と語る人や、ひどいときは候補者への誹謗・中傷を発言する方がいるからです。公開討論会の時間がたっぷりあれば、それらの”意見”や”誹謗・中傷” をコーディネーターが遮るのもいいでしょう。

 しかし、日本語というものは結論が最後になりやすいものであり、 実は質問ではなく単なる意見だったというのは、最後まで聞いてみなければ分かりにくいものです。

 また、一部の宗教団体や革新政党系市民団体などは、質問の中に巧妙に誹謗・中傷・スキャンダル暴露などを織り交ぜることが多く、コーディネーターがうっかりしてたり、地元の事情に精通 していなかったりすると、誹謗・中傷とわかりにくい場合が多いのです。仮に、コーディネーターがこれらの質問を遮ったとしても、限られた時間の中でこのような無駄な時間が費やされてしまうのは、多くの有権者にとって損失です。

 しかし、主催者の中にはワイドショーの芸能レポーターがするような上記のような質問も「候補者の人柄が見えてよい」「候補者と有権者の距離が近づくので良い」「疑わしい候補には正義の鉄槌を下すべきだ」と考える方がいます。

 けれども、ここは良く考えて欲しいものです。リンカーン・フォーラム方式の公開討論会は決して候補者に審判を下したり、品定めをするような場ではありません。むしろ、有権者が候補者と一緒になって自分の国や街の将来を考えた上で、自分達のリーダーを自らの意志で選び出す場なのです。

 自分達のリーダー候補に対しては礼節を持って接するべきです。人柄を知りたいのであれば、政策に関する質問でも十分うかがい知ることが可能であり、あえて誹謗・中傷で候補者の反応を試すなどということは必要ないはずです。また、革新政党系市民団体が開催する公開討論会では、与党候補に対して誹謗・中傷質問が繰り返され、与党候補が怒って退場してしまうということが何度もあったのです。そして、その市民団体や主催者メンバーは信用を失うことになります。

 これらのリスクを総合して考えると、仮に会場から質問を受け付ける取る場合は、質問用紙で受け付け、スタッフが内容を吟味するというルールを徹底すべきです。
 


2006年11月18日




Q.
 
質問を市民から公募することに問題はありますか
 

A.
 質問を市民から公募することや、その手段としてホームページやポスターに質問を掲示することはについて、公職選挙法の規制はありません。よく行われている方法です。

ただ、実際の運用面での問題はいくつかあります。

 第一に、公募された質問が必ずしも有権者の代表的な意見とは限らないことです。ごく限られたグループの意見に偏っている可能性があります。さらに、それらの限られたグループの人たちが組織票として公募して来るリスクも考慮すべきです。

 第二に、期待したほどの量や質の質問が集まらない場合もあります。

 これらのリスクを考慮して、主催者としては公募質問に依存しきらない姿勢が求められます。なるべく公募意見を尊重しながらも、最終的なバランスは主催者自身で調整することです。
 また、期待したほどの質問が集まらなかった場合の対策として、主催者自身が考えた「有権者の代表的な質問」も事前に準備しておくべきでしょう。

 なお、インターネット公募ではありませんが、来場者意見の当日募集に関するQ&Aも参考になるので参照してください。(特に(4)と(5))
 
●Q&A)来場者から質問を受け付ける時にはどのようにすれば良いですか


 


2010年5月2日




Q.
 
時間配分のお手本を教えてください。
 

A.

 初心者にも十分定着している「一問一答+反論」形式の時間配分のお手本を紹介します。

 (1)時間配分はシンプルな方がよい

 「一問一答+反論」形式は、主催者によってはさまざまな工夫を凝らしています。例えば回答時間に、以下のような変化をつけるなど。
 
 重要な質問: 回答時間5分 反論時間2分
  簡単な質問: 回答時間2分 反論時間1分

 また、反論時間を2回設けるなどして、より”討論”に近くなるようにしている場合もあります。
  いずれもアイディアは素晴らしいですが、よほどコーディネーターが手馴れた方でないと、候補者もコーディネーターも混乱してしまう場合が多いようです。

 やはりシンプルではあっても、回答時間と反論時間はそれぞれ統一しておいた方がよいでしょう。そのほうが候補者も落ち着いて回答でき、真の実力を発揮できるので、結果として議論が深まります。

 (2)雰囲気慣らし質問、○×質問(YES/NO質問)は休憩後に

  全国に先行した神奈川16区の「雰囲気慣らし質問」、愛知14区の「YES/NO質問」など、軽いタッチの質問方法で候補者の人柄を引き出す方法が試みられ成功を収めています。

 ○雰囲気慣らし質問  例:自分を動物に例えると何ですか?
 ○YES/NO質問    例:あなたは総理になりたいかYES/NOでお答えください 

 公開討論会はどんどん成長しており、好ましい傾向です。さて、これらの軽いタッチの質問を行う場合、タイミングとしては休憩後の導入部に行うのが最適でしょう。まがりになりにも会場に来ている観客は政策を聞きに来ています。いきなり最初から軽いタッチの質問で入ると、場合によっては白けてしまうことがあります。

 (3)最初はオーソドックスに自己紹介から

 公開討論会の最初はオーソドックスですが自己紹介がいいでしょう。いきなり「私の政策」とか「私が衆議院議員を目指す理由」などを語ってもらう必要はありません。むしろ、生い立ちとか、政治家を志した理由を2〜3分程度で語ってもらうと人柄が良く出ます。

 (4)タイムスケジュール模範例

 以上、(1)〜(3)をまとめると次のようなパターンが模範例となります。

 <想定条件>

  ・出演者3人
  ・2時間
  ・会場からの質問を質問用紙で受け付ける

1. 主催者あいさつ ルール説明  
10分
2. 自己紹介(3分×3人)  
10 分
3. 一問一答(3分)+反論(1分)     4分×4問×3人
50分
4. 質問用紙回収  

2分

5. YES/NO質問  
5分
6. 一問一答(3分)+反論(1分)     4分×2問×3人
26分
7. 会場からの質問             3分×2問×3人
20分
8. 閉会あいさつ  
3分

 


2006年11月18日

 




Q.
 
休憩時間は入れたほうがいいですか
 

A.
  休憩時間は原則として入れないほうがいいです。

休憩時間を入れると、再び開演するときの集まりが悪い上、後からダラダラと人が入ってくる様は見苦しく、候補者に失礼です。
映画でも演劇でも2時間程度であれば休憩時間が無いのが当たり前ですし、事前にトイレを済ませておくようにアナウンスしておけば問題になることはありません。
ただし、3時間近くに及ぶ場合や、体育館・野外などの暖房設備が不十分なところで行う場合ははトイレ休憩を考慮してもいいでしょう。

 


2006年11月18日

 




Q.
 
コーディネータの役割と選び方について教えてください。
 

A.

 1.コーディネーターの人選上の注意


 
コーディネーターの最低限の役割は、時間管理と公平性の維持です。これさえできれば主催メンバーでも十分コーディネーターは務まります。
  会の信頼性や知名度アップの為に外部のコーディネーターを招くのも有効な手段ですが、後に述べるような入念な準備を怠らないようにご注意ください。
  特に大学教授の場合、ご自身の研究分野ではプロでも、必ずしも司会やコーディネーターのプロではないことがあります。なかには最低限の時間管理すら出来ない先生もいますのでご注意。

 また、せっかく政治専門の教授が招待できそうでも、その教授が特定思想に偏っていないかのリサーチが必要です。

 2.外部から招く場合には入念な打ち合わせを

 コーディネーターを外部から招く場合、打ち合わせをしっかりしておかないと思わぬ失敗を招くこともあります。
  特に進行プログラムについては、主催者はプログラム作成の過程で何度も何度も打ち合わせしているので、十分頭の中に入っている ことから、ついつい外部の方に説明を省略しがちになります。
 
一問一答式であればあまり問題ないですが、反論を入れる場合や、フリーディスカッションなど複雑な構成の場合は特に入念に説明し ましょう。
  特にフリーディスカッション形式は、コーディネーターに発言の指名権があるので、あらかじめ発言順が決まっている一問一答形式 とは根本的にコーディネート内容が異なります。ここの差異をしっかりと意思疎通しておくことが肝要です。

 3.コーディネーターに負担をかけないようにするのは主催者の役目

 コーディネーターの仕事は時間との戦いです。また、ルール違反が無いように神経を尖らせている必要もあります。そこでこれらに気をとられすぎると、候補者の指名順をまちがえたり、反論時間を忘れて次の質問に移ってしまうなどのミスを犯しやすくなります。
  また、「時間が余ればもう一問追加」というような曖昧なルールにしておくと、時間を稼ぎたくなるあまり、「本来は3分のところ、2分でお願いします。」などと、途中で発言時間のルールを変更してしまう本末転倒な珍事もおこりやすくなります。

 このようなミスを予防するために、主催者側が進行プログラムをきっちりと固めておくことが望まれます。

 第一に、進行表は分単位で決めておき、コーディネーターは進行表に従うようにしておきましょう。
  第二に、候補者の発言順番を開会前に決めておくことです。発言順番を質問の都度くじ引きで決めるケースも見受けられますが、これはコーディネーターの混乱を招く要因になります。発言順番は当日の候補者直前打ち合わの時に、くじで決めておくのがベタ ーです。

 4.コーディネーターの心構えと非常事態対処

 公開討論会は生ものですから、会場で奇声を上げる人が出たとか、候補者が誹謗・中傷や事前運動発言が出たという事態も想定しておかなければいけません。そして、この非常事態に対処するのがコーディネーターの役割です。コーディネーターには、非常事態を自分が責任を持って処理するという心構えが必要です。
  そして、非常事態の対処方法はあらかじめ主催者側で考えておき、コーディネーターとの打ち合わせ時に指示しておくことが必要です。
 
 


2006年11月18日

 



Q.
 
コーディネーターにアシスタントをつけたほうがいいでしょうか
 

A.
 討論形式にもよりますが、フリーディスカッション形式、マニフェスト型、マニフェスト志向型、フォワード型などの場合、コーディネーターは候補者の討論にものすごい集中を要求されます。このため、主催者はコーディネーターの隣に「時間管理」「発言順管理」を専門とするコーディネーター補佐(アシスタント)を同席させることが望ましいです。

 コーディネーター補佐は候補者や来場者への発言は行わず、専らコーディネーターへのサポートに終始します。コーディネーターへのサポートは小声で話しかけるかメモで行います。可能な限り、声よりもメモの方が望ましいです。そこでコーディネーター補佐はメモを記入するために、大きめのメモ用紙、ボールペン、マジック等をあらかじめ用意しておきます。
 また、頻繁にメモとして出すことが予想される内容は、事前にカードとして作成しておくと良いです。 例えば、「次の質問は○○さん(読みがな付き)から」、「次の発言は△△さん(読みがな付き)」、「この質問はこの候補で最後」、「残り15秒」などです。
 
 


2010年5月2日

 



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