内田 豊(リンカーン・フォーラム事務局長)
リンカーン・フォーラムはLinuxの事業モデルを手本としている市民活動です。
コンピュータのOSとして不動の地位を確立したLinuxは、ライバルのWindowsやUNIXが高額であるにもかかわらず無料で提供されます。
しかも、ライバル製品に勝るとも劣らぬ高品質です。
なぜそんな不可思議なことが実現できるかというと、WindowsやUNIXの開発者に負けない実力を持つ世界最高レベルの開発者が、無料のOSを作ろうというLinuxの志の下に集まり、ボランティアで開発しているからです。
リンカーン・フォーラムもLinuxと同じで、プロの技量を持つ方々がプロの技をボランティアで提供してくれるからこそ、この最高のノウハウを誰もが無料で利用できるのです。
そして、Linuxがオープンソースであるのと同様、リンカーン・フォーラムのノウハウも万人に開かれています。さらにLinux同様、リンカーン・フォーラム方式も常に成長・改善を続けています。
2006年長野県知事選マニフェスト型公開討論会で、3会場すべてのコーディネーターを担当した熊谷さんは、大変な努力をしてフォワード型という最新のコーディネータースキルを身につけました。
私は彼が、「極上のマニフェスト型公開討論会」と評判の2005年千葉県知事選合同個人演説会(千葉会場)の音声をデジタルオーディオプレーヤーに録音して、いつでも聞いていたのを知っています。
目に見えないところで努力を積み重ねていたのです。
熊谷さんは、今度はフリーディスカッションの司会技術を身に着けようと研鑽しています。
同知事選のDVDを作成してくれた、監督の斉藤さん、カメラマンの藤野さん、編集の岡安さん、コピーしてくれた高橋さんらも、すべてボランティアです。
斉藤さんと藤野さんにいたっては、取材のために自費で松本に駆けつけ、すべての機材も自前です。彼らは現地の宿泊も車中でした。
最近リニューアルした「公開討論会これで完全CD−ROM」に収録されているビデオや音声の編集も、プロの機材を持つ方がボランティアで作成してくれ、コピー作業やメンテナンスもすべて、本部スタッフのボランティアだからこそ無料で提供できています。(発送手数料だけいただいていますが、これは送料と材料費のみです)
リンカーン・フォーラムが派遣するコーディネーターや出張講師なども、本業なら十万円以上クラスの方々に、雀の涙の謝礼でお引き受けいただいています。
リンカーン・フォーラムに関わる誰もが、素晴らしい街にしたい、わが国に真の民主主義を根付かせたい、投票率を向上させたい、政治風土を変えたいという、滅多なことでは実現できない高い志を抱いているからこそ、プロの技をボランティア提供することに何の疑念も抱きません。
これがLinuxモデルを手本にした、リンカーン・フォーラムの原動力なのです。