公開討論会シンポジウム
〜 新しい時代の扉が開く予感 公開討論会シンポジウムを終えて〜


GCFレポート巻頭言(99年8月号掲載)
リンカーン・フォーラム代表  小田全宏



  暑中お見舞い申しあげます。去る7月30日の公開討論会はお蔭様で大変な盛況の中、終わりましたこと、まづもって深く御礼申し上げます。
  地球市民会議リンカーン・フォーラムでは、統一地方選挙での公開討論会の盛り上がりを受け、来る衆議院選挙に向けて、2ヶ月前から、シンポジウムの準備に入りました。今回私が痛感しましたのは、途中で様々な困難やトラブルが発生しつつも、大きな意味で時代の後押しがあったということです。今回第二部でそれぞれの党の代表的な政治家においでいただいたのですが、参加要請は実にスリムに行われました。

 自民党から深谷隆司総務会長、民主党から菅直人代表、共産党から志位和夫書記局長においでいただきました。もちろん自由党の小沢一郎党首をはじめ他党の代表の方々にもおいでいただこうとも思ったのですが、時間の問題と実際の衆議院選が、自民・民主・共産党の三党で戦われるという見込みから、この三党の論客においでいただいたのです。コーディネーターは、ニュース23のメインキャスターである筑紫哲也さんにお願いいたしました。

 テーマは"政治と討論"という題で、公開討論会の必要性を論じていただきました。始めは静かに討論が始まりましたが、途中から議論が白熱し、実に各パネリストの人柄が大いに表れる興味深い討論会となりました。

 多くの方々から会が終了してから、「とても面白かった」という声をいただき、中には「歴史が動く現場にいた気がする」という身にあまる賛辞もいただきました。これも、この会を運営して下さったたくさんのボンラティアの方々の努力はもとより、会場にお忙しい中、足を運んで下さった700人聴衆の皆さん、また中でも、この数年間全国で公開討論会を実現してこられた人々の情熱、それらが、ひとつの会場に結実して大きな力となったのだと思います。

 この会の模様はニュースステーションやニュース23でも取り上げられましたので、ご覧になった方もいらっしゃると思いますが、画面を通じても、会場の中のピーンと張った空気が伝わって来ました。
  様々な議論があった中で、三人が合意しのは、次の衆議院選挙では全党とも積極的に公開討論会に参加するということでした。もしこれが実現されれば、おそらく投票率は大幅にアップし、また今までのレベルを超える民主主義が日本に現れることでしょう。

 確かに公開討論会だけでは、日本の政治が180度良くなることはないかもしれません。しかし間違いなく一歩は進みましょう。そして何よりもこれを実行していく人々が様々な困難を乗り越えながらも、大きな喜びや感動を得ていくことが重要だと思います。

 ウィン・ウィンという言葉をご存知でしょうか。普通誰かが勝てば、誰かが負けます。また誰かが得をしたら、誰かが損をします。それが社会の常識というものです。しかし、あなたも私も勝つということを、ウィン・ウィンといいいます。公開討論会はまさに、このウィン・ウィン・ゲームなのです。有権者の人は喜び、候補の人も喜ぶ、そして実行した人も満足するこの試みでは、誰も負ける人がいないのです。もちろん選挙ですから、当落があるのは当然です。でも今まで公開討論会にでた人は、たとえ落選した人でも、とても良い機会だったと言って下さっているのです。

 アーネスト・パーマーという政治学者が「真の討論は、お互いに与えあうものだ」と語っていました。
  朝まで生テレビを見ていると、お互いが自分の言いたいことを勝手に相手になげつけて終わっていますが、本当は考え方の違う人の意見の中に、真理を見出し、より高次の真実へと向かっていくのが本当の討論の姿でありましょう。

 科学の世界なら正解は一つしかありません。しかし、政治や社会の問題は、一つの真理というのはなく、立場が違えば答えはまったく違ったものになります。その相手の立場にも心を置けるところから、本当の討論が始まります。もしかしたら、公開討論会といえば、ボクシングのように相手をコテンパンにたたきのめす状況を想像されるかも知れません。しかし、本当の討論は、お互いが調和・融合し、共生していく道であると信じています。

 来る衆議院選挙は、300選挙区すべてで、公開討論会を開きたいと念願しています。
 是非あなたもこの運動に参加していただけないでしょうか。心から待っています。
 まだまだこれからも暑い夏が続きます。くれぐれも健康に気をつけてお過ごしください。
 







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更新日 2000年11月28日