〜 マニフェスト検証への公開討論会主催者の取り組みについて〜
                       
リンカーン・フォーラム発表 2010年2月28日


児玉克哉 (リンカーン・フォーラムJC公開討論会相談室長)

公開討論会主催者の皆様、特に青年会議所(JC)の皆様へ

選挙前にマニフェスト型公開討論会を実施して、その後、マニフェスト検証大会の開催を企画しているJCがあります。マニフェスト型公開討論会の後に、マニフェストがどのように扱われているのかに関心を寄せることは非常に重要なことです。言いっぱなしのマニフェストでは、マニフェストとしての意味をあまり持ちません。
 リンカーン・フォーラムは選挙前の公開討論会を推進する団体ですので、直接的にはマニフェストサイクルに関わるわけではありません。しかし、マニフェスト型公開討論会が一般的になり、マニフェストと公開討論会との関係がますます重要となってきていますので、マニフェスト型公開討論会の後のイベントなどの企画についても議論をしています。

私は、リンカーン・フォーラムのホームページにもあるように、マニフェスト検証大会に、公開討論会を実施している団体、つまりJCが直接的に関わることには慎重に課題をクリアして取り組むべきと考えています。それをクリアするのがリンカーン・フォーラム型マニフェスト検証討論会です。

立候補(予定者)がマニフェストを出して、それを討論する場を提供することは中立の立場で行うことができます。しかし、マニフェストがどこまで実現されてきたか、逆にいうとどこまで実現されていないかを評価するということになると、それを評価する側の価値観が大きく左右します。

「学問的に」「科学的に」評価するということはまずできません。誰がどの立場で評価するかによって、「素晴らしい実践状況」という評価から、「ほとんど詐欺に近い実践状況」という評価まで変わります。実際に、激しい選挙の2年後の市長の評価を聞くと、支援した人たちの多くは「素晴らしい実践でマニフェストが確実に実践されている」と評価しているのに対して、反対の側の人は「全くなにもしていない」という評価をしている場合も少なくありません。

評価型でのマニフェスト検証、つまりマニフェスト検証大会をして市長の成果を採点することは、市長に対しての距離や価値観を主催者も明らかにすることもありえるのです。こういうマニフェスト検証大会をリンカーン・フォーラムは推奨していません。公開討論会の主催者にもなる青年会議所はこうしたマニフェスト検証大会をすべきではないでしょう。市長がどういう厳しい評価を受けてもいい、というマニフェスト検証大会に理解のある人であればいいですが、(この場合には多くの場合実際の評価も高いでしょう)、少しでも否定的な評価があれば、敵としてみなすような人も少なからずいます。そしてそういう場合には、実際の評価も低くしたい場合が多いのです。

つまり評価型マニフェスト検証大会は、マニフェストに理解のある一部の市長に対してのみ実現可能であり、本当に検証大会の必要な市長の場合には開けない、ということがあります。そして無理やり開くなら、市長との関係を壊し、次の市長選での公開討論会の開催にも悪影響が出る可能性もあります。

そうした評価をしてはいけないとか、不必要だとか言っているのではありません。それらは大変に重要なことです。しかし、中立な立場をとろうとしていて、またまちづくりにも現職とともに活動しようとしている青年会議所が、中心となって開催するのは慎重になるべきだと考えているのです。

それではどうするのか。

リンカーン・フォーラム型マニフェスト検証討論会は、マニフェストに書かれていることをさらに実現するために市長と市民とが一緒になって何ができるのかを討論するものです。

つまり評価ではなく、現在の状況を市長とともに確認して、修正する部分は何なのか、そしてそれはなぜなのかを議論するとともに、これからさらにマニフェストに書かれていることを実現するには何をどうするのか、を建設的に討論するというものです。これなら、多くの市長は、のってくれるはずですし、マニフェスト型公開討論会で提出されたマニフェストを活かしていくことに繋がります。選挙の後に毎年開いてもいいものです。むしろ毎年開催すべきです。そうするなら、JCの年間行事として位置づけることも可能です。

具体的には以下のようなものになります。

  進行事例







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更新日 2010年02月28日