船橋市長選公開討論会レポート

公開討論会「市長候補を知る'97船橋」を聞いて
(平戸勝:船橋市民)

 

1.日時:6月9日(月)19:00-20:30
2.会場:サンガーデンホテル
3.参加費:500円
4.入場者数:150-180人(新聞報道)
5.入口で配布のパンフレットの内容

 1)公開討論会開催に向けて:主催者野屋敷いとこ氏(情報公開研究会代表)
 2)挨拶:スタッフ一同
 3)式次第
 4)出席予定者二氏の紹介:藤代孝七氏、坪内弘行氏
 5)コーディネーターのプロフィール:樋口美智子氏
6.討論会の内容

1)開催の辞:野屋敷いとこ氏
船橋市で初めての公開討論会を計画し実現させた経緯について(要旨)
 船橋市の投票率は3月の知事選で25.18%、前回の船橋市長選で33.69%の惨状である。
 本来市民中心に行われるべき政治から70%の人々が背を向けている。まず自分達のような普通の市民が行動しなければ政治は変わらないと思い始めた。今回の市長選に四氏が立候補を予定しており全員に出てもらうための努力をした。しかしさこた氏は連絡がとれず、現市長の大橋氏は後援会を通して再三要請したが日程がとれないことを理由に断わられた。最後に秘書課に要望書を提出した、前日電話で連絡があり、当日5時に質問への回答書が届いたが、本会の立候補予定者を自分達の目で確かめてもらう企画から外れるなどの理由でここでは公表せず希望者にはお見せする。今日は藤代、坪内両氏に出席いただいた。計画を進める途中何度も難関にであったが、公開討論会を全国に広げようとしているリンカーンフォーラムにわずか25日前に出会い、そのお陰で実現できた。
2)リンカーンフォーラム代表挨拶(要旨)
 このフォーラムは公平中立でどこの党にも偏らない。リーダーを政治家に託するため国民に政治家をもっと見近に分かってもらうことを目的に公開討論会が全国で開かれることを目標に活動している。京都、名古屋、深谷、藤沢で実現してきた。リンカーンがゲティスバークの演説で唱えた人民の人民による人民のための政治の実現が基本理念である。
3)コーディネーター挨拶(要旨)
 米国では地方、国政あらゆるレベルの選挙で公開討論会が行われており、日本でもこれからの広がりを期待している。立候補予定者の紹介とルールの説明。
 立候補予定者:自由民主党推薦・藤代孝七氏、日本共産党推薦・坪内弘行氏ルール:予め10の質問を藤代孝七、坪内弘行両氏に渡してあり第1問には自己紹介を含めて5分間、第二問以降3分間、いずれも持ち時間厳守。両氏の回答についての質疑はなし。更に会場からの質問を集め適切なる3問を選んで追加質問する。
4)質問と回答(紙数の関係から一部は質問のみとする)
問1.最重要課題は何か?

藤代孝七氏:開かれた清潔な市政をつくること。大橋市政は16年に及び声に耳を傾けない。市民によく見えて納得してもらえる市政を基本スタンス。当選したら最長でも3期12年まで。

坪内弘行氏:お金で命を差別してはならない。今の市政は市民イジメ。政治姿勢は市民を基本とする。情報公開の徹底。命と福祉を最優先。65才以上の医療の無料化。

問2.船橋の財政は多額の赤字を抱えている。健全化の方針は?

藤代孝七氏:現市長が16年前に立候補したとき、市債は495億円、年間予算の44%だった。現在市債は1892億円に膨張し年間予算の70%以上となった。これからは予算の使い切り方式はやめ、無駄な金は1円も使わない。

坪内弘行氏:最大の無駄使いはゼネコンがつくるハコモノ。更に三番瀬の埋め立て。
南口再開発となると膨大な資金が必要。入札は一般競争で。交際費、食料費の大幅削減。海外出張の自粛等々。

問3.情報公開について?

藤代孝七氏:見せたくない情報は非公開が現状。柏市のごとく食料費は全面公開する。予算の執行者が公開するのは義務である。行政監査制度確立。

坪内弘行氏:プライパシーを非公開の理由にはしない。食料費、官官接待はゼロに。
行政監査には外部の人を任命する。

問4.交通渋滞の改善、南口再開発の方針について

問5.船橋市の街つくりの構想は。三番瀬埋め立て問題。公園面積も小さい。

問6.ごみ対策、環境問題。

坪内弘行氏:大量に発生させているのは企業であり責任を持って処理してもらう。分別回収徹底。ごみ袋有料化反対。ダイオキシン対策として公的施設を改良増強し、そこで処理して発生を防ぐ。

藤代孝七氏:ごみ問題は大幅減量が緊急対策。他県に捨て場を委託するなどは出来ない。

問7.福祉について

問8.災害防止、危機管理対策は、活断層について。

坪内弘行氏:地震にも倒れない家を。現家屋の診断を助成する。改良のための無利息貸付。

藤代孝七氏:市長直属の超法規的措置がとれる態勢をつくる。

問9.教育、子供に対する施策。

問10.地区経済の活性化について。

追加質問(参加者からの質問の中から選択)

1. 公約とは何か。決意は。

藤代孝七氏:公約は必ず守らなければならない。市長になっても最長3期12年迄を約束する。

坪内弘行氏:政策を信用して貰って選ばれるのだから、完全に守る。

2.教育長はどういう方針で選ぶのか。

坪内弘行氏:公正で教育に情熱を持ち、子供の好きな人。

藤代孝七氏:教育長を変えるためには市長にならなければ出来ない。公平で指導力のある人。

3.24時間介護サービスを委託できないか。

藤代孝七氏:養成に時間がかかる。検討課題。

坪内弘行氏:市が責任を持って行う。20人いれば可能である。

以上で討論会終了。


感想

1.初の討論会を実現させた野屋敷代表らに敬意と拍手をささげる。

2.討論会というものの実質は候補予定者が質問に対し予め用意した答を述べる形式であり盛り上がりに欠けた。しかし第一回目が出来たことはあとに続く期待があり、成功であった。

3.大橋市長は万難を排して出席して欲しかった。有権者42万人余に対し、微々たる勢力と思ったのであろうか。

4.藤代孝七氏の答には慎重さが目立ち、市政の先頭に立つ気概があまり感じられなかった。

5.坪内弘行氏は65才以上の医療無料化等、福祉重視の答が多かったが財源については補助金を多くすることを挙げた。国に負担を求める姿勢には疑問を生じた。
以上。   


 船橋市長選は6月22日投票され、投票率は41.12%、前回を7.43%上回った。
 藤代氏が有効投票数の39.3%を集めて当選。多選を批判し、開かれた市政を訴えたのが実った。その実現を期待したい。
 一方、大橋現市長は34.8%で及ばなかった。法定ビラによると100近い団体の支持、400余の団体の推薦を受けたが?現市政継続を願う市民が少なかった為と思われる。坪内氏は25.4%を獲得した。
 






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更新日 2000年11月28日