〜 公開討論会を活かせば未来は明るい 〜
             
(一社)構想日本「J.I.メールニュース No.736」発表 2015年12月17日

原文<構想日本のWebサイト>


一般社団法人公開討論会支援リンカーン・フォーラム代表理事 内田 豊

あちこちの選挙で、立候補者を一堂に集めた公開討論会が開催されていることをご存じだろうか。

公開討論会は約20年前から広がり始め、現在では全国の自治体で、国政選挙だけでなく首長選や県議選などでも開催されるようになってきている。公開討論会に行けば政策の違いはもちろんのこと、それぞれの候補者の問題意識、政治への取組姿勢などが良くわかる。

これらは誰に投票すべきかの有力な判断材料となる。

実際に参加してみれば分かるが、上手に運営された討論会は、テレビの討論番組よりもずっと面白く、知的興奮が味わえる。この公開討論会を開催しているのは選挙管理委員会ではなく、地元の青年会議所や主婦のグループなど、一般市民だ。

「公職選挙法」に違反しないように運営しなければならないが、この法律は一般市民には非常に難解だ。また、利害が相反する候補者達との間で、出席交渉をまとめ上げなければならない。さらに有権者に大勢来場してもらい、満足してお帰りいただく必要がある。

これらの運営には特別なコツがいる。経験上そのコツを踏み外すと、ほとんど失敗してしまうほど繊細なものだ。

そのコツを、リンカーン・フォーラムが体系化し、公開討論会の開催者に指導している。

例えば「出席を渋る候補者とどのように交渉すれば成功するか」、「会場からの野次を予防するにはどうすればいいのか」など、民間企業のトップセールスも驚くような極意が満載だ。 また、コーディネーターの派遣、開催方法の出張講演、コーディネーターの養成講習会の実施、解説DVD提供など、公開討論会の運営に関する様々な支援サービスを提供している。

リンカーン・フォーラムは公開討論会を一層普及させるため、最近、指導者の育成に力を入れ始めた。その第一弾として、コーディネーター・指導者の認定資格制度を始める。また、全国規模の施設企業との提携による、快適な会場の格安提供なども計画している。

さらに、来年夏の参議院選から選挙年齢が18歳に引き下げられることを契機に、中学や高校で授業の一環として、「公開討論会」を活用してもらおうと考えている。

30歳未満の若者の投票率が80%近くにも達するスウェーデンでは、中学や高校の授業の中で税金の使い道を調べたり、生徒がグループに分かれて各政党の政策を勉強するなど、公教育の中に民主主義を自ら学びとる仕組みが根付いている。

一方で日本の公教育は、ようやく緒に就いたばかりで、若者の投票率は40%未満だ。

そこで、日本の生徒も授業で民主主義の理念を学び、その総仕上げとして本物の選挙の公開討論会を見学する。そして会場に設置した投票箱に模擬投票する。

本物の選挙の開票後に模擬投票の結果を開票し、本物の選挙結果と比較して、その差異をグループで話し合い、発表する。 このサイクルと体験学習で、生徒は民主主義を自ら体得する。その結果、若者の投票率は向上していくだろう。

子どもたちが両親に、「来週、授業で公開討論会に行くけれど、お父さん達は行くの?」と聞いて、両親が「そんな機会があるなら行ってみようか」となれば、日本の未来も明るい。

公開討論会の開催情報や、開催方法はこちらのWebサイトで  https://www.touronkai.org

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内田 豊 (うちだ ゆたか)

山一證券、証券系IT企業を経て、現在、みずほ証券に勤務。公認情報セキュリティマネージャー。1997年千葉県市川市長選で公開討論会を主催。同年、リンカーン・フォーラムの前身組織に参画。2000年にリンカーン・フォーラムを独立させ、全国へ公開討論会の普及・指導に当たっている。

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 加藤からの一言

 多くの読者のみなさんの町でも公開討論会が行われていると思います。次回は是非足を運んでみてください。

 また、選挙権年令の引き下げに伴い、学校での政治教育や若者の政治参加を進めるという活動も拡がり始めています。リンカーンフォーラムの活動を含め、これらが有機的につながるよう、読者のみなさんも地元でお力添えください。

 その場合の必要な情報に関するお問い合わせは構想日本でも受けつけます。

 〜代表加藤とリンカーンフォーラムのかかわり〜

 NGO時代のリンカーン・フォーラムでは「会長」。今現在、一般社団法人のリンカーン・フォーラムでは、「顧問」に就任。

 







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更新日 2015年12月18日