討論形式
更新日 2021年02月09日






討論形式 (全期間)
0. 全般
公開討論会にはどのような討論形式がありますか
公開討論会は候補者が座ったまま行うものでしょうか
1. 一問一答+反論形式
「一問一答+反論」形式はどのようなものですか
「一問一答+反論」形式でも工夫次第では激論にできますか
12. 一問一答+掘り下げ質問形式
一問一答+掘り下げ質問形式とはどのようなものですか
   
2. 立会演説会
立会演説会はどのようなものですか
立会演説会形式はどのような時に有効ですか
3. ○×質問
○×質問とはどのようなものですか
○×質問形式の面白い工夫の仕方はありませんか
大好評の会場一体型○×質問とは何ですか
4. ディベート形式
ディベート形式とはどのようなものですか
ディベート形式をたっぷりと行うことはできますか
5. フリーディスカッション形式
フリーディスカッション形式の進め方を教えてください
候補者が7名と多いのですが、フリーディスカッションと一問一答形式、どちらの形式にしようか悩んでいます。 
テーマを決めないフリーディスカッションは可能でしょうか
フリーディスカッション形式の具体的な進行事例を教えてください
6. マニフェスト型
マニフェスト型は、普通の公開討論会と何が異なりますか
7. 資料付
資料付公開討論会とはどのようなものですか
8. マニフェストが無くてもできるマニフェスト風討論会
マニフェストが無くてもマニフェストを問う公開討論会にできますか
9.マニフェスト志向型
マニフェスト志向型公開討論会とは何ですか
10. フォワード型
フォワード型とはどのようなものですか
討論形式 (選挙期間中)
11.選挙期間中の合同演説会
選挙期間中に開催できるのは合同・個人演説会だけですか



Q.
 
公開討論会にはどのような討論形式がありますか
 

A.
 
  リンカーン・フォーラム方式の公開討論会には大別して以下の討論形式があります。

  ・一問一答
  ・一問一答+反論形式
  ・一問一答+掘り下げ質問形式
  ・立会演説会
  ・○×質問
  ・ディベート形式
  ・フリーディスカッション形式
  ・マニフェスト型
  ・マニフェスト志向型
  ・資料付き
  ・マニフェストが無くてもできるマニフェスト風討論会
  ・フォワード型

初心者には「一問一答+反論」形式がお勧めです。
また、「○×質問」や「資料付き公開討論会」も初心者にとって取り組みやすいです。
現在では単純な一問一答形式はほとんど見られなくなりました

ディベート形式は、初級者〜中級者向きです。

また、一問一答+掘り下げ質問形式フリーディスカッション形式マニフェストが無くてもできるマニフェスト風討論会フォワード型は上級者向けで、コーディネーターには特に高度な能力が求められます。

議会議員選などで人数が10人以上いるときには、立会演説会形式か○×質問を中心にするとよいでしょう。

また、選挙期間中に開催する合同演説会の場合、実質的な討論スタイルは公開討論会と同じです。ただし公選法により、「合同・個人演説会」、「合同・街頭演説会」、「合同・政党演説会」などの分類があります。

 



2010年5月2日更新
2021年2月9日更新

 



Q.
 
公開討論会は候補者が座ったまま行うものでしょうか
 

A.
 
  リンカーン・フォーラム方式の公開討論会は、必ずしも候補者が座ったままとは限りません。

立会演説会形式
  立会演説会形式の場合は、終始立ったまま行います。

最終演説
  公開討論会の最終演説では、舞台中央にスタンドマイクか演台を用意し、候補者に一人づつ前に出てきていただき、立って演説していただくことが一般的です。
なお、この最終演説終了時には、どの候補にもは会場からの拍手を促すとよいです。

大統領選風のディベート
  ディベートの時間帯に候補者の人数分の演台を用意して、立ったまま行うスタイルです。プログラムに長時間のディベートを組み込んだ場合などに向いています。米国大統領選風のスリリングな討論になります。<参考写真



 



Q.
 
「一問一答+反論」形式はどのようなものですか
 

A.
 
  一問一答が一巡した後、自分の政策への批判に対して反論、あるいは補足説明を述べる時間をもう一巡する形式です。「一答」部分が3分であれば、「反論、補足説明」部分は2分程度にするとよい。
初心者でも取り組みやすいのが長所で、公開討論会の最も基本的なスタイルです。

一般的に、「一問一答+反論」形式は淡々と進みディベートやフリーディスカッションは激論になるため、後者のほうが候補者の違いがよくわかると思われがちですが、必ずしもそのようなことはありません。むしろ、丁々発止のディベートやフリーディスカッションよりも、落ち着いてじっくりと政策を語り、掘り下げていく「一問一答+反論」形式のほうが候補者の違いが鮮明になりやすいものです。

「一問一答+反論」形式こそが公開討論会の王道であり、基本的にはこれをベースに据えて、他の討論形式を組み合わせていくといいでしょう。

 



 



Q.
 「一問一答+反論」形式でも、工夫次第では激論にできますか

A.
 
十分可能です。

方法1
コーディネーターが、「反論」時間に候補者が回答すべき内容を指定する方法です。
「一答」部分の候補者の回答内容や、他の候補者からの政策批判を加味し、より掘り下げた説明を求めます。
これは、後述の一問一答+掘り下げ質問形式です。

方法2
「反論」の部分を一巡ではなく、二巡、三巡のプログラムにします。

方法3
「一答」部分が、どの候補者も似通った回答で違いがわからない場合は、コーディネーターが「反論」時間のときに、「あなたの政策は他の候補者とどこか違うのかはっきりとわかるように説明してください」と促します。これは後述のフォワード型の応用です。



2021年2月9日更新

 



Q.
 一問一答+掘り下げ質問形式とはどのようなものですか

A.

一問一答+掘り下げ質問形式は、一問一答が一巡した後、コーディネーターが、それぞれの候補者の回答内容を土台に、各候補者毎に掘り下げた質問をその場で瞬時に考え、各候補者毎に個別に質問していく形式です。

通常の「一問一答+反論」や、「ディベート」、「フリーディスカッション」などと異なり、コーディネーターが主導権を握り、討論の切り口を開いていきます。
このため、コーディネーターの手腕次第では、あらゆる討論形式の中で最も、候補者の本音を抉り出し、違いを浮き上がらせ、有権者に知的興奮を提供できる形式です。

一問一答+掘り下げ質問形式の事例(動画、音声)

開催年 選挙名 コーディネーター 事例
2005年 千葉県知事選(千葉市会場) 田岡俊次(ジャーナリスト、軍事評論家) 音声
2017年 鎌倉市長選 内田豊(リンカーン・フォーラム代表理事) 動画

 



2021年2月9日

 



Q.
 
立会演説会はどのようなものですか
 

A.
 
 候補者に一人すつ壇上に出ていただき、テーマを特定せず、一定の時間内で自由に演説していただく形式です。壇上に立ったまま演説し、演説が終了したら退場となります。

注1
 かつて存在した公営の立会演説会は1983年に廃止されました。
 ここではかつての立会演説会の討論形式を民間の公開討論会に流用することを立会演説会形式と呼んでいます。

注2
 リンカーン・フォーラム方式の「合同・個人演説会」は、立会演説会と名称が似ていますが、「合同・個人演説会」の討論形式は立会演説会に限らず、一問一答+反論をはじめ、ディベート、マニフェスト型など、公開討論会とまったく同じ種類の討論形式です。



 



Q.
 
立会演説会形式はどのような時に有効ですか

A.
 
 立会演説会は候補者が一方的に話す形式なので、普段の公開討論会ではほとんど利用されませんが、特別な事情があるときには有効です。 

議会議員選
  議会議員選では候補者が10人、20人、30人といることが多く、公開討論会では一人当たりの発言時間が極めて限定されます。このような時は立会演説会形式がもってこいです。

国政選挙で、候補者に閣僚クラスがいる場合
  国政選挙で、候補者に大物(閣僚、自民党3役、派閥の長、総理経験者、党首など)がいる場合、彼らを公開討論会に2時間も拘束するのはほとんど不可能です。なぜなら、大物ともなると、党の候補の応援で全国を駆け巡るため、自分の選挙運動すらままならない方も多いからです。
そのため、たとえば各候補者に20分づつ話してもらうだけの演説会方式とし、お話いただいたら退場して党の候補の応援に戻ってもよいこととします。 公開討論会に比べると物足りない気もしますが、大物抜きの公開討論会よりははるかにマシです。 そして、たった20分の演説でも十分候補者の違いがわかることは、 過去の立会演説会の調査結果から明らかになっています。



 



Q.
 
○×質問とはどのようなものですか
 

A.
 
 
○×質問(YES/NO質問)は、候補者全員に○と×の板を持ってもらい、質問に対して○か×で即答いただく形式です。
政策よりも人柄などを知るのに向いています。

候補者が○か×か判断しかねる場合でも、「政治家とは決断しなければならない職業なので、回答しない人は判断能力に欠ける人と思われるかもしれませんから、可能な限り回答してください」と促すようにしましょう。

質問を用意する側の注意点としては、○か×かについての理由が必要な質問は取り扱わないことです。
ただし、あらかじめ○×理由の説明時間を組み込んでいる場合や、○×質問の後に、それぞれの回答結果についての一問一答などを連動させている場合は例外です。

○×質問のような軽いタッチの質問を行う時間帯としては、ディベートなどで激論した後にプログラムすれば、ディベートのピリピリした雰囲気を和らげるのに最適です。まがりになりにも会場に来ている観客は政策を聞きに来ています。いきなり最初から軽いタッチの○×質問で入ると、白けてしまうことがありますので注意しましょう。
また、○×質問は、会場からの質問用紙回収時間の後にもぴったりです。○×質問は大体5分〜10分程度なので、質問用紙を集計する間の「ツナギ質問」として活用できるからです。

【○×質問の事例】

・人柄を聞く質問
 「私はファッションセンスがいい」
 「私は朝食はパン食だ」
 「私は夜型人間だ」
 「私はパソコンが得意だ」

・教育について聞く質問
 「小学校では給食より弁当がいい」 
 「中学校では給食より弁当がいい」
 「子供はもっと遊ぶべきだ」
 「子供はもっと勉強すべきだ」

・自分の身分についての質問
 (首長選で)「首長の多選は制限すべきだ」
 (総選挙で)「私は将来総理になりたい」

・公開討論会についての質問
 「これからも選挙の前に必ず公開討論会はすべきだ」
 「このような公開討論会が次回もあったら私は必ず参加する」

 



 



Q.
 
○×質問(YES/NO質問)形式の面白い工夫の仕方はありませんか?
 

A.
 
 
○×質問(YES/NO質問)の回答記入用紙の利用をお薦めします。
これは、横軸に候補者名記入欄があり、縦軸に質問タイトルが並んでいる表形式のA4サイズの集計用紙です。来場者への配布資料として渡します。このたった1枚の紙がとても便利。
○×質問の結果を記入すれば、即席の候補者政策比較表の出来上がりです。さらに、この用紙が手元にあるおかげで候補者の基本的なスタンスが非常に良く分かり、○×質問のあとの個別質問も、理解度が深まります。
論より証拠。
次の記事(2001.6.24 朝日新聞)をご覧ください。

いかにこの「
○×質問回答記入用紙」の威力が優れているか、お分かりいただけると思います。
わすか1枚の紙を差し挟むだけで、候補者の違いがグンと鮮明になります。



 



Q.
 
大好評の会場一体型○×質問とは何ですか
 

A.
 
 立候補予定者だけでなく、会場の聴衆もすべて参加する○×質問で、どこで行っても大好評です。
立候補予定者は団扇に○と×を貼り付けてよくわかるように出してもらいます。
聴衆は、A4の紙に○と×を両面印刷し、それを各自持って参加します。
コーディネーターだけが全体像をつかめますから、「会場はおおよそ7割の人が○をあげています」、とか「ほぼ半々に分かれています」とか説明します。立候補予定者の意見と会場の意見との差もわかって楽しめます。



 



Q.
 
ディベート形式とはどのようなものですか

A.
 
 
候補者が別の候補者を1名指名し、自ら質問して、その回答に対し反論を繰り返すスタイルです。質問する側は、相手にとって最も痛い質問を投げかけようと周到に用意してきますので、「突発的な質問への対応能力」を判断しやすい方法です。
 それだけに、このスタイルは候補者に敬遠されがちですので、受け入れていただくためには慎重な交渉が必要ですが、受け入れていただければ、米国大統領選のようなスリリングな討論が楽しめる方法です。
 しかも、フリーディスカッションと比較すると普通のコーディネーターでも司会しやすい点が特徴で、近年では急速に普及しています。



 



Q.
 
ディベート形式をたっぷりと行うことはできますか
 

A.
 可能です。
 すでに2004年の栃木県知事選で、まさに「激論」と呼ぶにふさわしいディベートが行われています。
 3人の候補予定者がそれぞれ対戦相手を1名指名し、

1) A候補が回答者を指名して質問 3分
2) 指名されたB(またはC)候補が回答 1分
3) A候補が2)の回答内容にさらに質問または反論 1分
4) B(またはC)候補が再回答 1分
5) A候補が最終反論 1分

の1対1のスリリングな討論を、計6回戦、計45分間実施しました。
2時間枠の公開討論会の1/3を1対1の討論、すなわちディベートで行いました。

この討論会は、観客からもマスコミからも絶賛をいただきました。
さらに、どの候補者陣営からも満足の評価をいただきました。



 



Q.
 
フリーディスカッション形式の進め方を教えてください。
 

A.
 ”フリーディスカッション形式”のポイントと、コーディネーターが討論の中立性を確保するための注意点を回答します。


1.企画について

  フリーディスカッション形式では、まず大きなテーマを数個と時間枠をきめます。
  参加者数によっても異なりますが、2時間の公開討論会のうち、1時間をフリーディスカッションに充てるのであれば、4つのテーマを各15分の時間枠で、という配分が目安でしょう。 
   
  次に、その時間枠(例えば15分)の中で、候補者1回当たり最長発言時間を決めます。これは1分が最適です。(2分以上取ってしまうと発言回数が制限されてしまい、一問一答形式とあまり変わらなくなってしまいます)候補者の発言回数に上限はありません。 

  なお、テーマ選定にあたっては選挙の種類にふさわしいテーマに絞るように心がけましょう。


2.フリーディスカッション形式のコーディネートの特徴

  フリーディスカッション形式には一問一答のような一定の発言順番はありません。
  挙手した方をコーディネーターが指名します。基本的には挙手した順番での指名になります。

  しかし、ケースによっては挙手の順番ではなく、コーディネーター主導で指名したほうがふさわしい場合があります。たとえば、財政再建というテーマのときに、普段から財政再建についての持論を展開している方や、自己紹介などで「財政再建が最優先課題」と発言した方をトップバッターとして指名するなどです。
  こうすると、トップバッターの発言が呼び水となって、反論や横展開などが活発にでてくるようになります。
  
  また、候補者がたった今発言した内容が矛盾した内容だったり、YESなのかNOなのか、参加者に理解できない発言だっりする場合があります。このような時コーディネーターは、他に挙手をしている候補者に一旦待ってもらい、もう一度その候補者にYESなのかNOなのかを一言で答えてもらうなど、突っ込み質問を入れると政策の違いが鮮明になります。 


3.時間厳守

  コーディネーターは、ひとつのテーマの時間枠が15分と決まっているのであれば、その15分を厳守するのを心がけてください。どんなにそのテーマで盛り上がっても、時間厳守で次のテーマに移ります。

  また、1回あたりの最長発言時間(通常1分)も厳守です。進行上、10秒程度の時間オーバーは見逃しても構いませんが、それ以上の場合は一旦発言を打ち切り、続きはあとで再び挙手していただくようにします。


4.発言時間・回数は、結果の平等ではなく、機会の平等

  テーマによって、候補者には強味、弱みがありますから挙手の回数が異なるのは当然です。
  そのテーマに強い方にはたくさん発言してもらい、苦手な方には他の得意なテーマでたくさん発言することで挽回してもらえばいいのです。

  したがって、ひとつのテーマで全員の合計発言時間や合計発言回数を同じにするような配慮は必要ありません。ここで大事なのは、結果としての発言時間・回数を平等にするのではなく、発言の機会(チャンス)を平等に与えることです。
  
  基本的には挙手の順番で指名していけば、発言機会は平等になります。コーディネーター主導で指名する場合は、発言機会が偏らないような注意が必要です。

  異なる意見をもつA,Bの2者間での応酬が白熱し、他の候補者が発言の輪に加わっていない状況のとき、他の候補者は
   1)発言したいのに、挙手をする良いタイミングがない
   2)この議論にはついていけないので静観している
  のかをコーディネーターは十分に見きわめてください。
  白熱している2者だけでなく、他の候補者の目や腕の動き(挙手したがっていないか)に注意してください。
   1)であれば、2者の議論を打ち切り、他の候補者に差し向ける必要があります。
   2)の場合、あえて(挙手しない)候補者に振る必要はありません。
   ただし、あえて(挙手しない)候補者に振ってしまうというテクニックもあります。
   司会 :「ところでCさんは先ほどから発言がありませんが、何かありませんか?」
   候補C:「いや、結構です」
   こうすることにより、候補C氏はそのテーマが本当に苦手であることがはっきりします。
  
  
5.コーディネーター主導になりすぎないように注意

  「2.フリーディスカッション形式のコーディネートの特徴」で、コーディネーター主導で指名したほうがふさわしいケースを紹介しましたが、リンカーン・フォーラムのフリーディスカッション形式は、テレビのディベート番組とは目的が異なります。テレビのディベート番組では視聴者の”わかりやすさ”以上に”面白さ”を重視しますので、(良くも悪くも)視聴者受けのいい候補者に指名が集中しがちです。
  これに対し、リンカーン・フォーラムのフリーディスカッション形式は会場参加者の理解促進や、候補者の違いを鮮明にするために、あえてコーディネーター主導で指名する場合もある、ということです。
  
  コーディネーター主導になりすぎないように十分注意してください。
  



2010年10月3日改訂

 



Q.
 
候補者が7名と多いのですが、フリーディスカッションと一問一答形式、どちらの形式にしようか悩んでいます。
 

A.
 
この場合は、「一問一答+反論」形式を推奨します。
フリーディスカッションですと、候補者の人数が多い場合にうまく機能しないことが多いようですが、その点、「一問一答+反論」形式は、どんな人数でも安定的に候補者の違いを引き出せる公開討論会の王道と言えます。

 



 



Q.
 
テーマを決めないフリーディスカッションは可能でしょうか
 

A.
 可能です。ただし、簡単ではありません。
 実例(国分寺市長選)レポートを参考にしてください。  
 



 



Q.
 
フリーディスカッション形式の具体的な進行事例を教えてください
 

A.
  公開討論会の主催者は、どのようなタイムスケジュールで行えば盛り上がるのか、について考えていらっしゃると思います。
 テーマごとにフリーディスカッション(自由討論)の時間を設けることをお薦めします。これがあると、「討論会」という雰囲気がかなりでて、面白くなります。盛り上がりますし、満足度も高いものです。参考にしてみてください。

候補予定者が3人の場合は、例えば以下のような形になります。

1) テーマを3つくらいに絞る
2) テーマについて1人2〜3分ほど意見を述べてもらい、その後、10分程度
の「自由討論」の時間を設ける。
3) 「自由討論」では1人1回の発言は1分以内とする。
4) コーディネータは発言回数のバランスをとることともに、議論を整理しながら進める。

候補者が2人の時は、全体の討論時間にもよりますが、発言時間をもう少し長くすることが可能です。あるいは4つのテーマにすることも可能です。逆に4人の場合には、意見表明を2分づつにするなどして対応します。

■具体的な進行事例(候補予定者3人の場合)

プログラム 解説
主催者あいさつ
パネリスト入場 (BGM【情熱大陸等】)朝ナマの入場のような感じです。緊張感が出てきます。
コーディネータ入場
自己紹介・立候補を表明した理由(9分+1分【コーディネータの発言時間分】)
3分 候補予定者A
3分 候補予定者B
3分 候補予定者C
【拍手】
○×式問題(3分)
テーマ1討論(たとえば財政再建)
3分 候補予定者B 
3分 候補予定者C 
3分 候補予定者A
10分程度 自由討論 (発言は1人1回につき1分以内:何度でも発言可)
3人で10分ですから3回くらいの発言が目安になります。10分で正確に切る必要はなく、意見がかなりでているのなら12分くらい取っても構いません。少なければ、8分で終えても構いません。後の討論の部分で時間調整をします。できるだけ不公平感のない状態にします。
【拍手】
○×式問題(3分)
テーマ2討論(たとえば景気対策)
3分 候補予定者C 
3分 候補予定者A 
3分 候補予定者B
10分程度 自由討論 (発言は1人1回につき1分以内:何度でも発言可)
3人で10分ですから3回くらいの発言が目安になります。
【拍手】

○×式問題(3分)

テーマ3討論(たとえば社会保障問題)
3分 候補予定者A 
3分 候補予定者B
3分 候補予定者C
10分程度 自由討論 (発言は1人1回につき1分以内:何度でも発言可)
3人で10分ですから3回くらいの発言が目安になります。
【拍手】
最後のメッセージ(中央に一人一人出て発言)
3分 候補予定者B【拍手】
3分 候補予定者C【拍手】
3分 候補予定者A【拍手】
○×式質問(会場の皆へ)
「こうした公開討論会を今後も選挙の前に行ってほしい」(ほぼ全員○)
コーディネーターまとめ
「無理やり上げさせているようで恐縮ですが、これが次の討論会への励みになるのです。ぜひ一緒に国民が参画する政治をつくりましょう。」
「これからも政策論争を正々堂々としていくことお互いに確認していただくということも含めて、握手をしていただきたいと思います。パネリストの方、中央へどうぞ。」
パネリスト中央で握手
盛大な拍手のもと、「これにて公開討論会を終わります。有難うございました」で終了

 



2010年5月2日

 



Q.
 
マニフェスト型公開討論会は、普通の公開討論会と何が異なりますか
 

A.
  公開討論会のうち、立候補予定者(もしくは候補者)がそれぞれ有権者に向けて提示する「マニフェスト」に着目し、これを題材として具体的な政策論議に重点を置いて実施されるものをマニフェスト型公開討論会と呼びます。
 したがってマニフェスト型公開討論会では、候補者全員のマニフェストを会場で配布する点が、普通の公開討論会と異なりますが、実際にはそれ以上に多くの相違点があり、普通の公開討論会よりも実現が難しく、準備作業もかなり増えます。
詳しくは『マニフェスト型公開討論会マニュアル』を参照してください。
 



 



Q.
 
資料付き公開討論会とはどのようなものですか
 

A.
  必ずしもマニフェストを討論題材の前提としない通常の公開討論会でありながらも、一部(または全員)の候補者から希望があれば会場でマニフェストの配布を認め、マニフェストを討論の題材として扱いやすくした公開討論会を、「マニフェスト型公開討論会」との区別から便宜的に「資料付公開討論会」と呼ぶことにします。
 「マニフェスト型公開討論会」と「資料付公開討論会」との違いは、公開討論会でのマニフェスト配布や、発言の中心にマニフェストを据えることが、「マニフェスト型公開討論会」では主催者の意思であるのに対し、「資料付公開討論会」は候補者の自発的意思である点です。

 資料付公開討論会は、マニフェスト型公開討論会に比べて候補者に出演いただきやすく、準備や当日の進行などの多くの面でも運営が容易であり、公開討論会初心者であっても比較的簡単に取り組むことが出来る点がメリットです。
公開討論会の初心者が、はじめからマニフェスト型公開討論会に取り組むのは難しいので、まずは資料付公開討論会から着手することをお薦めします。
詳しくは『マニフェスト型公開討論会マニュアル』2.資料付公開討論会についてを参照してください。



 



Q.
 
マニフェストが無くてもマニフェストを問う公開討論会にできますか
 

A.
 可能です。ただし、マニフェストが全く無い状態でマニフェストを問うのは簡単ではありません。
 実例(国分寺市長選)レポートを参考にしてください。

 なお、政党や候補者のマニフェストはWeb等で発表されているものの、マニフェスト冊子として用意していない状態であれば「マニフェスト志向型公開討論会」として開催できます。 
 


2010年5月2日更新

 



Q.
 
フォワード型とはどのようなものですか

A.
  フォワード型は以下の特長を備える最先端の討論型式です。

 ・討論会が本来あるべき、「討」論に仕向ける
 ・コーディネーター主導で「討」論に誘導する
 ・来場者、候補者にコーディネーター一任の賛意を求める
 ・候補者は、事前に考えてきたことは忘れて、この場で考えたことを話す
 ・相互に違いが分かるように質問する、話し合わせる
 ・他の候補者の発言を良く聞かせる
 ・質問への一方的な回答ではなく、相手の意見への討論へと持ち込む

 特に、候補者には自分が用意してきたことを言わせるのではなく、前の人の発言に対する意見を言わせ、次の人もまた同様に、と同じテーマを順次転送し、つなげていくスタイルが最大の特徴です。「フォワード」型の命名の由来は「転送」の英訳から来ています。

 既存の討論形式には、場合によっては以下のような問題が起こり得る欠点があります。

  1. ディベート形式(1対1のバトル)は、建設的な意見交換ではなく、ののしりあいになりがちです。
  2. フリーディスカッション形式(自由討論)は、テーマが発散したり、人の意見は無視して自分の意見だけを目立たせようとなりがちです。
  3. マニフェスト型は、文書として書かれたマニフェストの実効性の議論などに終始してしまい、なぜその政策が必要なのかという本質が見落とされがちです。

 既存の討論形式のこれらの欠点の多くを、上述の運営方法によって克服した画期的なスタイルが、このフォワード型です。

 なお、フォワード型を実施するためには、コーディネーターに、(1)高度な司会スキル、(2)当該地区の政治課題に関する十分な知識、(3)候補者からの高い信頼、(4)候補者への深い愛情などが求められます。

 フォワード型は、発祥地の北海道に広く普及しています。それ以外の地域への早期の普及が望まれます。

 


2010年5月2日
5月4日更新

 



Q.
 
選挙期間中に開催できるのは合同・個人演説会だけですか
 

A.
 公職選挙法により、選挙期間中に選挙運動のために開催できる演説会は、開催できる場所によって「個人演説会」と「街頭演説」に大別されます。
さらに個人演説会は、主催できる者によって「(狭義の)個人演説会」、「政党演説会」、「政党等演説会」に細分化されます。

選挙期間中にはこれらの演説会をそれぞれの”主催できる者”が合同で開催することができ(公選法第164条の3の2項)、下表のように分類されます。
リンカーン・フォーラム方式では、民間の第三者が企画・運営を仲介することにより、これらの合同演説会を実現します。

合同演説会の種類 主催者 場所 概要・特徴 主な事例
(2006年11月現在)
合同・個人演説会 公職の候補者 屋内 ・候補者を一堂に会して行う
・選挙期間中では最もポピュラーな開催方法
05年千葉県知事選

※開催実績120回以上
合同・政党演説会 候補者届出政党 屋内 ・政党の代表者を一堂に会して行う
・衆議院選や参議院選で政党のマニフェストを議論するのに向いている。
05年総選挙・沖縄県
合同・政党等演説会 衆議院名簿届出政党等 屋内 ・衆議院名簿届出政党等の代表者を一堂に会して行う なし
合同・街頭演説会 ・公職の候補者
・候補者届出政党
・衆議院名簿届出政党等
屋外 ・選挙カーを一堂に会して、屋外で行う 03年総選挙福井1区
・04年前橋市長選

参考1 個人演説会と街頭演説の主な違い
(1)個人演説会
政見の発表や投票依頼のため有権者を参集させ、候補者個人が自ら開催する演説会。開催回数は自由。公営施設を使用する場合と、その他施設を使用する場合とがあり、それぞれの場合で制限が異なる。

(2)街頭演説
街頭、公園、空き地などで多数の人に向かって選挙運動のために行う演説。屋内(選挙事務所など)から街頭に向かって行う演説も含む。午前8時から午後8時まで。選管交付の標旗を掲出し、選挙運動従事者は腕章を着用。走行・歩行演説は禁止。公共施設、鉄道敷地内、病院などでは演説できない。

参考2 政談演説会
選挙期間中に開催できる演説会として、上述のほかに、確認団体に限り一定の条件の下で開催できる「政談演説会」があります。 政談演説会は政治活動であり、選挙運動のために行うことはできません。リンカーン・フォーラムでは2006年現在、合同・政談演説会の支援実績はありません。

 



 



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